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現代人の不調の多くは「自律神経」が原因だった!

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

2018年08月13日 公開 2023年09月07日 更新

帰宅後、座る前に必ずすべきこととは?

こうした自律神経の乱れを防ぐ第一歩は「ルーチン化」です。食事や睡眠のタイミングや、毎日の習慣をできるだけ一定化しましょう。

それには、選択肢を少なくするのがコツ。たとえば服装の組み合わせを数パターンに限定すれば情報量がシンプルになり、ストレスを軽減できます。

ルーチンを、自律神経の日内変動に沿わせることも重要です。たとえば、毎晩、疲れて帰宅したあと「すぐ座る」習慣があるなら、それは間違いです。

交感神経は、夜に向かってなだらかに低下するもの。活動から停止へと急激に切り替えるのは乱れのモトなのです。

「脱いだ服を片づけないと」「郵便物を確認しないと」など、タスクの積み残しを意識しながら座ってしまうと罪悪感があり、ストレスフル。一旦停止した後にそのタスクをするのも、下がっていく交感神経の波を乱します。ですから帰った後すぐは、あえて動きましょう。

疲れているのに動くのは辛い、と思うのはこれまた間違い。現代人の疲労は肉体より神経の疲れなので、動かないことでは解消されません。むしろ疲れたときこそ身体を動かすことが大事です。積み残しを片づけてスッキリしてから眠れば副交感神経が存分に働いて睡眠の質も上がり、良いリズムを取り戻せます。

 

副交感神経が蘇るコツは「ゆっくり」食べること

腸内環境も、自律神経を整える重要なポイントです。従来は「脳→自律神経→腸」の順番に情報が伝わると考えられてきましたが、近年はその逆方向もあることが判明しています。腸の働きの悪さが、自律神経を乱す原因になるのです。

腸内環境が悪くなる主な理由は、ストレスと食べ過ぎ。食べ過ぎで肥満になると代謝や血流に悪影響が出て、ますます自律神経に負担をかけます。BMI値が高すぎると自律神経の活性度が低くなる、というデータも出ています。

腸を整える方法はいろいろありますが、基本はゆっくり食べること。血糖値の急上昇を予防でき、少量でも満腹になります。味わって食べることで、幸福感も増すでしょう。 

このように、「ゆったり感」を味わうことが大切です。ルーチン化で生活をシンプルにし、そのぶん余裕をもって日々を送ることが交感神経の傾きを正常化する秘訣と言えるでしょう。

 

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自律神経を乱さない生活習慣4

著者紹介

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授

1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。

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