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3年後に中国が日本の音楽市場を追い抜く。それは日本にとって好機でもある

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

2018年06月25日 公開 2022年08月22日 更新

イノベーションが生まれにくい環境の日本。世界でどう戦っていくか

中国という国の状況について、日本人が未だに勘違いしがちな点があります。

コンテンツ産業におけるIT、IOTといったテクノロジーの分野では、日本は中国に遅れている、いや負けているという事実です。
僕は本当に悔しいのですが、「このままじゃ負けてしまう」ではなく「圧倒的に日本が遅れた」という状況の認識を迫られています。

端的に言って、中国ではコンサートのチケットがスマホで購入できます。スマホからコンサート情報が確認できて、そのアーティストの楽曲が聴けて、そのまま会場に向かってライブに参加できるとこまでがサービスとして一貫したものになっています。

これはおそらく多くの中国人にしてみればごくごく普通のことです。

そんな環境が当たり前である中国の人が、日本でコンサートのチケットを買おうとしたらどう感じるでしょうか?
スマホでチケットが買えない? コンビニ受け取り? なぜ紙のチケットがあるの? 

実際に中国の中間層の方が日本に来て、このような状況を目の当たりにして、「日本のITは遅れているんだね」と感じてしまうわけです。

すでに中国の深セン市が次世代の製造業において、世界の中心になりつつあると言われています。アメリカのシリコンバレー、中国の深センと並べて比較すらされる状況にありますが、そのせめぎ合いの中に日本企業の影はあまり見えません。

シンボリックな例としてドローンが挙げられます。

この分野では中国の深センのDJIという企業が圧倒的なシェアを勝ち取りました。
日本でも『FREE』などの著書でも有名で、ITに関する数々の予言を的中させたクリス・アンダーソンが創業メンバーとして参画していた3D Roboticsにも圧勝しています。

中国企業の勢いを感じざるを得ません。
ユニコーン企業(時価総額10億ドル超の未公開企業)の数でもアメリカを中国が猛追しています。

イノベーションが中国から生まれる一方で、日本はイノベーションが生まれにくい国になってしまっている。
私たちはどう戦うか真剣に考えなければいけない状況です。デジタル化と国際化はコインの裏表のような存在です。日本の音楽業界にとって、デジタル対応の遅れは致命的で、火急の課題です。

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