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新島襄が唱えた「良心教育」で人格形成に寄与する~八田英二・学校法人同志社総長

高井昌史の教育改革対談

2018年08月03日 公開 2022年08月25日 更新


同志社創設者・新島襄
 

「世界」と「女性活躍」に早くから着目

八田 同志社大学には「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」の三つの教育理念があります。キリスト教主義とは、先ほどお話しした考え方です。「自由主義」とは、自由放任ではなく、自分を律して責任を持つからこそ自由にできるとの考え方です。そして「国際主義」とは、グローバルな視野を持った人物を率先して育てるということです。

同志社大学は、グローバルという言葉がまだ世の中に浸透する前から、そのような人物の育成に取り組んできました。今では、グローバル地域文化学部、グローバル・コミュニケーション学部を設け、留学を条件にしています。また、大学院にはグローバル・スタディーズ研究科があり、中東やトルコの問題なども研究しています。

グローバル教育というと、とかく語学教育を連想しがちですが、語学だけではなく、世界的視野を膨らませたものの見方ができるようにするのが教育の本質です。

高井 グローバル教育とともに、新島八重さんが手がけられた女子教育も、特長の一つですよね。同志社女子大学にも長い歴史があります。

八田 アメリカで学んだ新島襄は、女子教育の重要性を早くから認識していました。ですから、帰国後間もなく、妻である八重とともに、同志社女子大学の前身である女子塾を創立しています。

新島襄は、女性がどうだ、男性がどうだということではなく、近代化していく日本に合うような市民、いわゆる「近代市民」をつくりたいとの考えを持っていました。そういう意味では、彼の中には男女を分けるという発想はなかったかもしれない。しかし、当時は男女共学など考えられない時代でしたから、女子だけを集めた女子塾をつくったのだと思います。

高井 今でこそ女性活躍社会と言われていますが、ずっと以前から女性活躍への思いを抱いていらっしゃったのですね。

八田 歴史ある大学の中で、一つの学校法人に男女共学と女子大が共存しているケースはあまり多くありません。やはり、女子教育に力を注いだ新島八重の影響は大きいと思います。

私は、現在のような男女共同参画社会だからこそ、女子教育を行なう女子大が必要だと考えています。男女平等とはいえ、まだまだ女性は社会的に弱い立場に置かれることがあります。同志社女子大学が果たしてきた役割を考えると、これからも女子教育は必要だと考えます。

※本記事はマネジメント誌「衆知」より、一部を抜粋編集したものです。

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