(写真:永井浩)
<<「定年時に最低でも3,000万円の貯蓄が必要」とささやかれ、「年金は破綻する」という言説が強調されるなかで、多くの日本人の気持ちを不安にさせている。しかし、そこに真っ向から反論するのが、経済ジャーナリストの荻原博子氏。
自著の『年金だけでも暮らせます』にて、その理由を力強く主張している。なぜそこまで言えるのか? 同書にて年金が破綻しないと言える3つの根拠を解説している。その一節をここで紹介する。>>
※本稿は荻原博子著『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです
少子高齢化で年金は本当に破綻するのか?
これから年金をもらおうという人、すでに年金をもらっている人が共通して持っている不安は、老後の命綱である「年金」そのものが「破綻」してしまわないか、ということでしょう。
現在、公的年金(年金制度)では、加入者のみなさんに支払いを約束しているお金(年金受給権が発生しているもの)が1000兆円以上あります。
けれど、将来のために積み立ててあるお金はわずか160兆円ほど。これから徴収していく保険料は少子化で減っていくし、年金をもらう人は高齢化で増えていく。
こうした状況だけを見ると、年金制度は、計算の上では、完全に破綻状態にあるということになります。
つまり、年金をもらう資格のある人がいっせいに、「今すぐ、もらえるはずになっている年金を全額欲しい!」と言ったら、到底払えないということになるからです。
しかし、「年金」がほんとうに「破綻」するのかというと、結論から言えば、年金は「破綻」しません。
年金が破綻しないのは、3つの理由があるからです。
(1)年金は、今すぐ全額支払うものではない
(2)破綻しそうになれば、政府が助ける
(3)破綻しないための様々なテクニックがある
それぞれについて、順番に見ていきましょう。