「間」は、聴き手の理解のため
まず、役割1についてですが、話す側が思っている以上に、聴き手にとって新しい情報を、話を聞きながら頭の中で整理するというのは苦労を要します。
新しい情報を伝える際、特に専門用語などわかりにくい用語が出てくる場合には、理解するのに時間を要します。そのため、理解を促すために、文と文の間には、1〜2秒ほど空けると、格段に話がわかりやすくなります。
手前味噌で恐縮ですが、私の自己紹介を例にしてみます。
「こんにちは。(1秒)」
「株式会社士教育代表取締役の犬塚壮志と申します。(1秒)」
「現在、私は、株式会社士教育と株式会社ワークショップという2つの会社を経営しています。(1秒)」
「士教育のほうでは、経営者やビジネスマン向けに、主にコミュニケーションやブランディングに関するセミナーや研修を行っています。(1秒)」
「個人ブランディングをベースに、起業家や講師業の方々のセミナーなどを開発からプロデュースまで請け負っているのが弊社の特徴です。(2秒)」
「もう1つのワークショップという会社は、東京都北区赤羽にある大学受験専門の塾です。(2秒)」
「元々、新卒で駿台予備学校という大学受験を専門とした予備校に入社し、10年間勤めました。(1秒)」
「そこでは、化学という科目を指導する講師として登壇していましたが、それ以外にも講義テキストの執筆や、年間カリキュラムの作成、学校の教員向けのセミナーも行っていました。(2秒)」
「ただ、勤めているときに、その目の前の生徒たちが大人になって社会に出た時に、その子たちをさらに成長させてくれる教育環境が社会に準備されているのか疑問に感じるようになりました。(2秒)」
「ですので、大人も子ども生涯ずっと学び続けられるよう、そして、教える人がもっと活躍できるよう、より良い学習環境を作っていきたい、そういった思いから、独立し会社を興したのです。」
自己紹介のように、聴き手にとって新しい情報を一方的に話さざるを得ない状況では、意図的に情報処理や考えさせるための「間」を取るのです。
自己紹介の目的は、相手とつながることです。相手に覚えてもらわなければ自己紹介の意味はありません。
だからこそ、自己紹介のような新しい情報は、畳み掛けるように話すのではなく、文と文の間に1〜2秒ほどの「間」を意識的にとって、聴き手の情報処理の時間をしっかり確保し、覚えてもらいやすくするのです。
聴き手の理解のための負担を減らすことが、「間」の最大の役割といっても良いでしょう。