<<無言の時間が苦手で、ついついずっと喋ってしまう。間を開けようと思っていてもついつい言葉が出て、相手の話し出しとかち合ってしまい「どうぞ、どうぞ」と……。
元カリスマ予備校講師の犬塚壮志氏も、もともとはこのタイプ。講師として苦労するなかで、「間」の大切さとその使い方を身に着けて人気講師となった。
そんな犬塚氏が「間の恐怖」を乗り越えるすべと、「間の活用法」を伝える。>>
「間」を怖がる人の共通点
「キミの話し方、怒涛のように畳み掛けすぎて、余裕がなく見える。そんな話し方じゃ、生徒の理解が追いつかない。それに、小物感も丸出しだよ」
これは、予備校講師時代に私が先輩から言われた言葉です。私の講演を会場の後ろで聴いていた先輩講師に、講演後呼び出されて開口一番に言われたのです。
せっかく手応えを感じて終えたのに、その気分が台無しになったのを今でも覚えています。
ただ、確かに、私は初対面の方がほとんどである講演会のような場で、「間」というものがなぜだか怖く、それを隠そうと、ひたすらまくし立てながら話してしまうクセが、実は昔からあったのです。
予備校講師という仕事は、1講義あたり50分間ないしは90分間を一方的に説明し続けなければならないのです。そのため、ついつい普段の会話も含め、一方的になりがちだったのです。
特に、会議などでは、相手からの反論が怖くて、自分の意見をまくしたてて、「間」を取る意識が欠けてしまっていました。
こういった経緯もあり、私は、たとえ一方的な話しをしなければならない場面でも、目の前で聴いてくれている人が聴き飽きないよう、同じ職業の売れっ子講師の話し方を徹底的に分析したのです。その答えの一つに、「間」の使い方があったのです。
わかりやすい話し方のための「間」の役割とは?
たとえ一方的に話せなければならなかったとしても、わかりやすい話し方をする講師には共通点がありました。それが「間」の使い方なのです。売れっ子講師たちはこぞって、この間の使い方に秀いていたのです。
そもそも、わかりやすい「話し方」における「間」の役割というのは、大きく3つあると思っています。
役割1 聴き手の情報整理の時間を確保する
役割2 聴き手を能動的にさせる
役割3 余裕を見せる
わかりやすい話し方を身につけている人というのは、ビジネスパーソンであれ、芸能人であれ、これらの「間」の機能を巧みに利用しているのです。
ちなみにですが、「間」と言っても、せいぜい1〜2秒間ほどの無言の時間を作るだけです。実際にやってみるとわかるのですが、3秒間以上は無言でい続けるのは、かなり長く感じてしまいます。私もよっぽどの事がないと、3秒間は空けません。
ですので、特に、「間」を取る事に慣れていない方は、まず1〜2秒を、要所要所で意識的に空けられるようにすることが「間」を取るというふうにお考えください。