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仕事

あなたの仕事の8割は、「やらなくてもいいこと」だった

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

2019年04月25日 公開 2023年09月13日 更新

絶対に略せないのは「部下の育成」

管理職であれば、下から来る仕事もあるでしょう。部下の相談に乗ったり、指導したりするのは上司の仕事です。

とはいえ部下は何人もいるのですから、すべての部下に直接対応していたら、上司の仕事は増える一方です。

そこで重要なのが、組織の階層をうまく使うこと。例えばあなたが課長なら、自分がコントロールするのはすぐ下の課長代理や係長までとし、その人たちがさらに下の部下に対応する仕組みにします。

管理職の中には新入社員の仕事にまで、こと細かに口出しする人がいますが、それは入社3年目くらいの若い社員に任せればいいこと。1人の上司が組織の末端まで直に対応するのは、あまりに効率が悪すぎます。

このように、管理職の仕事を減らすには、自分の仕事を人に任せることが不可欠です。中には「任せられる部下がいない」と平気で言う上司がいますが、任せられるように部下を育成するのは管理職の責務です。

部下の育成は時間をかけてでも上司がやるべき仕事で、絶対に略してはいけません。

「任せられない部下」を「任せられる部下」に育てるには、仕事の状況を定期的に報告させるのが最も効果的です。私が上司に対してやっていたのと同じように、部下から定期的に情報を上げさせれば、仕事の遅れやミスの兆候があっても早めにフォローできます。

仕事を発注するときも、「この点に注意して進めるように」とアドバイスを添えれば、失敗も減って部下のレベルは確実に上がっていきます。

こうして時間をかけてでも部下が成長すれば、上司である自分も仕事を下に任せて、管理職にしかできない重要な仕事に集中できます。チーム全員がそれぞれの役割に応じた仕事に取り組めば、組織の生産性は一気に上がるはずです。

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著者紹介

佐々木常夫(ささき・つねお)

佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役

1944年秋田市生まれ。6歳で父を亡くし、4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。1969年東大経済学部卒業、同年東レ入社。30代前半に倒産しかけた会社に出向し再建。1987年社長のスタッフとして経営企画室で経営革新プログラムを担当。1989年繊維の営業でテグス(釣り糸)の流通改革を断行。1993年プラスチック事業企画管理部長。2001年取締役経営企画室長。2003年東レ経営研究所社長。2010年同社特別顧問。2013年より佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。著書に『会社で生きることを決めた君へ』(PHP研究所)などがある。

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