1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 「老後2000万円」の衝撃 それでも慌てない人の“ほったらかし投資”

くらし

「老後2000万円」の衝撃 それでも慌てない人の“ほったらかし投資”

篠田尚子(しのだ・しょうこ:ファンドアナリスト)

2019年06月15日 公開 2022年08月16日 更新

 

積立で投資信託のリスクを抑える

投資信託の失敗を避けるために実践していただきたいのが、「積立」(定時定額購入)です。毎月決まった日に、決まった金額で自動的に投資信託を買い付けていくというもので、日ごろ仕事にプライベートに忙しくしている方々にもぴったりの投資方法です。

投資信託のリスクは、完全に排除することこそ難しいものの、こうして買い方を工夫することで抑えることができます。
積立の効果について説明する前に、まずは投資信託の値段のしくみについて、簡単にご説明しましょう。

投資信託の値段は「基準価額(きじゅんかがく)」と呼ばれ、1日に1回公表されます。基準価額は、一般的に、1万口(くち)当たりの値段を指すことが多く、「1万口あたり1万円」から運用をスタートします。

すでに頭が「?」でいっぱいの方は、スーパーで売っているパックのお肉をイメージしてみてください。

一般的なパック詰めのお肉は、「100グラムあたり○○円」として売られていますよね。そしてその値段は、日によって変わります。

お肉の「100グラムあたり」の値段が日によって変わるように、投資信託の場合は、「口数(くちすう)」あたりの値段が運用の成果によって日々変動するイメージです。投資信託の基準価額は、日によって1万口あたり1万500円に上昇したり、9500円に下落したりするのです。

積立投資の場合、毎月の積立額は変わらないので、基準価額の変動によって購入口数が自動的に変わります。

基準価額が上昇すると購入できる口数は減少しますが、基準価額が下落した場合は、より多くの口数を購入することができます。100グラムあたりの値段が下がると、同じ予算で多くのお肉を買うことができるのと同じだと考えてください。

このように、積立は、相場下落時の「心の拠りどころ」として重要な役割を果たします。市場環境が不安定になって、保有する投資信託の基準価額が大きく下落しても、「オトクに積立できている」と、気持ちを切り替えることができるからです。

また、積立投資のメリットとしてはもう1つ、基準価額の下落時であっても自動的に積み立てられることで、平均買付単価を下げられるという点があります。

積立を続けていく過程では、どうしても、基準価額が高いときも安いときも出てきます。一時的な値段の上下に振り回されず定額を積み立てていくことで、長い目で見ると、平均買付単価をならすことができるのです。

次のページ
積立投資を成功させる2つの秘訣

関連記事

アクセスランキングRanking