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Amazonを超えたサブスク!? 米国男性が圧倒的に支持する「あのサービス」

雨宮寛二(あめみやかんじ:ジャーナリスト)

2019年07月12日 公開 2019年07月17日 更新

サブスクリプション、略して「サブスク」。商品の単品販売ではなく、定額でサービスの提供を通して顧客との関係を深めていくモデルである。デジタル化がサブスクの広がりを大きく後押しした。

動画配信サービスのNETFLIX(ネットフリックス)やDAZN(ダゾーン)をはじめ、食品や衣料、果ては婚活パーティーにまでサブスクは浸透し、消費者の価値観は「所有」から「利用」へと急激に変化している。

本稿ではこの急速に進展するサブスク・モデルにおける多くの事例を解説した雨宮寛二氏の著書『サブスクリプション』より、サブスクモデルの現状を伝える一節を紹介する。

※本稿は雨宮寛二著『サブスクリプション 製品から顧客中心のビジネスモデルヘ』(角川新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

寡占市場の髭剃り業界を席巻する「ダラーシェイブクラブ」

マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査の男性投票部門で第1位を獲得したのが、ダラーシェイブクラブです(図表14)。

あのアマゾン定期おトク便を抑えてのトップ獲得ですから、米国では絶大な人気を誇っているサブスク・ボックスのひとつと言えます。ダラーシェイブクラブ(DSC)という名称は、文字通り「1ドルで(=Dollar)髭が剃れる(=Shave)会員制サービス(=Club)」を意味します。

2011年にカリフォルニアで創業した、髭剃りセットを定額で会員に提供するサブスクです。2016年にユニリーバに10億ドルで買収されましたが、ブランド名はそのまま残されています。

髭剃り業界と言えば、米国ではジレット(Gillette)が剃刀製品の老舗ブランドとして有名ですが、このジレットが1901年に創業して市場に参入して以来、1926年には後発のシック(Schick)が、さらにフランス企業のビックがこれに続きました。

以降この3社で寡占市場を形成し、市場の8割以上を占有し続けています。シックは2003年にエッジウェル(Edgewell)に買収され、ジレットは2005年にP&Gに吸収合併されましたが、シックとジレットのブランド名は変わらず残されています。

ジレットのフュージョンやシックのハイドロは共にシリーズ化されて、ロングセラー商品として業界では根強い人気を誇っています。それではなぜ、こうした寡占市場の髭剃り業界にダラーシェイブクラブは参入したのでしょうか。

髭剃り業界は、「髭剃り・替刃(Blades & Razors)」、「電動シェーバー(Appliance)」、「シェービングクリーム(Shaving Cream)」の3つの市場で構成されています。

例えば、P&Gは、3つの市場全てにおいて、満遍なく製品を投入しています。すなわち、髭剃り・替刃市場ではフュージョンやヴィーナスを、電動シェーバー市場ではブラウンを、シェービングクリーム市場ではジレットのシェービング剤をそれぞれ提供しています。

DSCがメインで参入した髭剃り・替刃市場では、P&G(ジレット)とエッジウェル(シック)の2社で米国の市場シェアの8割を占めています。

このように、米国の髭剃り・替刃市場では、P&G(ジレット)とエッジウェル(シック)の大手2社がし烈な競争を繰り広げていますが、グローバルレベルでCPG(消費財やサービス)市場を席巻しているのが、P&Gとユニリーバです。

日本では、LuxやDoveといった商品でお馴染みのユニリーバですが、DSCを買収する以前は、髭剃り・替刃市場には参入していませんでした。ユニリーバは、DSCを取り込んでこの市場での競争に参入したのです。

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サブスクリプションが「時間とお金」を節約する

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