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社会

パワハラ上司ほど隠している「自分の屈辱的な過去」

片田珠美(精神科医)

2019年07月25日 公開 2023年01月11日 更新

 

不安や恐怖が生み出す被害者意識を言い訳にしてしまう

困ったことに、自分自身が味わった不安や恐怖が強いほど、「自分は理不尽な目に遭い、つらい思いをした」という被害者意識も強くなる。

この被害者意識は曲者である。というのも、「自分もやられたのだから」という理由をつければ、自分と同じような体験を他人に味わわせることを正当化できるからだ。だから、たとえパワハラ以外の何ものでもないことでも、被害者意識を言い訳にして、罪悪感なしにやってのける。

こうした自己欺瞞が起こりやすいのは、自分自身の不安や恐怖を直視せず、できるだけ目を背けようとする人である。

心の中にある不安や恐怖と向き合うのが怖いからこそ、無意識のうちに「攻撃者との同一視」のメカニズムによって屈辱的な体験を乗り越えようとするのだともいえる。

その結果、いじめも、虐待も、パワハラも連鎖するのだが、本人は被害者意識によって正当化しようとする。だからこそ怖いのである。

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