握手だけで相手の「仕事の能力」を見抜く方法

ミラーリングで相手に印象を残す

では、「この人、デキる！」と思われる見た目を作るために、すぐに取り入れられる方法をお伝えしましょう。それはミラーリングです。

相手が笑ったらこちらも笑う。相手が手を組んだら、自分も真似る。これは「ミラーリング」といって、相手とのあいだに共感を生み出すテクニックです。

ミラーリングで大事になるのは、「時間差」です。相手がした行為を、すぐさまこちらも真似したら、不自然な印象を与えてしまいます。基本的には、相手がアクションをしてから3、4秒空けてから、ミラーリングをしましょう。

たとえば、目の前に座っている人がコーヒーを飲んだら、3秒数えて自分もコーヒーを飲むという具合です。すると違和感なく、ごく自然な感じでミラーリングが成功します。

目に見える行為を真似することだけがミラーリングではありません。バーで相手が頼んだものと同じカクテルを自分も注文するのもミラーリングです。相手からすれば、自分の価値観を支持され、信頼感も伝わって、嬉しい気持ちになるでしょう。

この場合は、相手が注文してから5秒ほど間を置いて、オーダーすると自然に見えます。

とにかくミラーリングは時間差をつけることがポイントです。ちょうどいい間を置かないと不自然となり効果がなくなるので注意しましょう。

ミラーリングでもうひとつ重要なのが、ネガティブなアクションは真似しないことです。たとえば、相手が鼻をさすったら自分もさする、相手がクローズドな姿勢をとったらこちらも真似するといった「ネガティブメッセージ」のミラーリングは逆効果で、相手を怒らせてしまいます。

たかが握手、されど握手

「日本人の握手はどうしてぎこちないのか?」

海外の友人からそう尋ねられて、答えに窮したことがあります。
握手は世界共通の挨拶です。にもかかわらず、日本人は握手をする機会が少ないせいか、苦手意識を持つ人が多いようです。

商談では、まともに握手できない人は、場数を踏んでいないように見られたり、常識や教養に欠けると見なされたりします。ぜひ、国際標準の握手をマスターしてください。

相手の目をしっかり見つめながら、2、3度、垂直に腕を振るこれが握手の基本です。ほかにも、気を付けたいポイントがいくつかあります。

・握手は上位者から
2018年6月に行なわれた米朝首脳会談において、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長が会談した際、トランプ大統領が、われ先にと手を差し出したのが印象的でした。

相手に先に触れるのは上位者。これは暗黙のルールです。握手はパワーゲームの一環であり、より多く、長く相手に触れるのは、権力の象徴なのです。当然、立場が下の者から、握手のため先に手を差し出すのは失礼にあたります。

・手を差し込む瞬間だけ力を入れる
日本人がやりがちなのが、浅い握手です。指先を中心に握る浅い握手は、「あなたの手は汚いから、握りたくない」というメッセージを伝えることになります。当然、相手に失礼な印象を与えます。

理想は、親指と人差し指の付け根まで、手をしっかり差し込んでから、軽く握る握手です。力を入れていいのは、手を差し込む瞬間だけで、手を差し込むまでは、相手の手を握ってはいけない、と覚えておきましょう。

・すぐ手を離さない
日本人は一瞬で握手を終える傾向がありますが、これでは、相手の印象に残りません。握手を交わしたら相手の手をすぐには離さず、軽く会話をしましょう。初対面であれば、「はじめまして、○○さん」と相手の名前を言ったり、「お会いできるのをすごく楽しみにして来ました」「お噂はかねがねうかがっています」などと、ひと言、加えてみましょう。

・両手で相手の手を包み込まない
相手が差し出した手を、両手で包み込む握手は「ポリティシャンズ・ハンドシェイク」といって、媚びを売ったり、迎合したり、自分を印象付けたりするときのアクションです。

親しみや愛情などを伝えるために、両手で握る握手をする人もいますが、初対面の人に対する両手の握手は、相手からしてこない限り、気をつけたいものです。

また、握手のときに余計な場所に触れてもいけません。2009年に、当時、アメリカのファーストレディーだったミシェル・オバマ前大統領夫人が、エリザベス英女王と面会したときに、女王の背中に腕を回すという、王室では無礼とされる行動をして、顰蹙を買いました。自分が下位の立場なら、相手が触れるまでは自分からは触れないというのがルールです。

もちろん、握手中は、アイコンタクトを外してはいけません。相手が視界に入った瞬間から、目はずっと逸らさずに、握手をするのがポイントです。

このように、日頃からトレーニングを重ねることで、見た目を磨くことができます。ぜひ、実践してみてください。

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