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ピュアだった海外旅行初心者が、インドで騙され続け「鬼神化」するまでの顛末

さくら剛

2020年01月28日 公開 2024年12月16日 更新

旅は人を成長させるという。しかし見知らぬ国への一人旅は危険が頭をよぎり躊躇してしまう。一人旅で気を付けなければならないことは何か。そして、旅は人の何を変えるのか。

作家であり、ポッドキャスト番組「さくら通信」も好評を博す⼀⼈旅マスターのさくら剛氏が、著書『海外旅行なんて二度と行くかボケ!』(産業編集センター)より、実際に体験した悶絶エピソードから旅人を待ち受ける試練を紹介し、トラブル対処法を学ぶ。

※本稿はさくら剛著『海外旅行なんて二度と行くかボケ!』(産業編集センター)より一部抜粋・編集したものです。

 

第一の試練「タクシー・乗り物系トラブル」

とりわけ一人旅をしていると陥りがちな傾向が、人を信じられなくなるというものである。海外に飛び出したばかりの旅人は、まるでこの世に飛び出たばかりの赤ん坊のように、疑うことを知らないピュアな心を持っている。

しかし例えばインドなどを旅行して、「駅まで100ルピー(160円)」という約束でタクシーに乗ったのに、到着してから「着いたぞ。料金は、500ルピーだ。おまえの分が100ルピー、荷物の運賃が400ルピーだ」と5倍の金額を請求されたり、

「料金は、100ドルだ。誰がルピーって言ったんだよ?俺は最初からドルって言っただろうが」と60倍の金額を請求されたり、

あるいはそもそも駅にすら着かず、勝手に旅行会社に連れて行かれて強面の男に取り囲まれ、2000ドルくらいの法外なツアーを組まされそうになったり、そういう事態を経験して行くと、人は変わる。

この世には、自分の国に興味を抱いて大事なお金と時間を使って訪れてくれた外国人を、なんの迷いもなく欺ける人間がいる。

その衝撃の事実に直面して旅人は「あ、俺、無条件に人を信じてたら3日以内に所持金全部なくなるな」と悟り、心の阿修羅像を「友好」から「憤怒」へ顔面チェンジするのである。

ちなみにインド(特に北インド)は特別にそういうトラブルが多い地域であり、毎日何度も何度も何度も何度もウソをつかれコケにされ旅程を狂わされると、自分は人間なのに怒りすぎてスーパーサイヤ人に変身するのではないかと思うほど、未知のゾーンの怒り狂いに突入することが出来る。

その貴重な体験と引き換えに、旅人は信じる心を失うのだ。たとえメロスとセリヌンティウスの友情を目にして改心した直後の王様でも、お城からの帰りに北インドに立ち寄って悪徳タクシーに連続でぼったくられたら、この3日間のことはすべて忘れ、一瞬にして元の邪智暴虐の王に戻ることだろう。

その後は「王様は人を殺します。前以上に人を殺します(涙)」と、民衆も嘆きを募らせるに違いない。

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旅人の良心を破壊する「ガイド系トラブル」

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