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元外交官が教える「外国人にささる”日本史のツボ”」

山中俊之(元外交官)、鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年03月26日 公開 2022年07月04日 更新

 

「日本の芸術」を知りたい世界の人々

4つめは芸術です。

芸術は、どんな国のひとと話をしても、政治や宗教のように対立することはありません。私は、現在の排外主義的な動きが高まる状況の中で、対立することが少ない芸術を通じた相互理解が必要なのではないかと思います。

実際、世界の人々の多くが日本の芸術について知りたいと感じます。しかも、日本の芸術は絵画にしても演劇にしても、世界で唯一のものであり、ある観点からは世界最高レベルのものでした。

世界的にこのように評価を得ているわけですから、私たち日本人はまず日本の芸術について深く知ることが重要です。

最後に、日本に対する固定観念を破るような話です。

たとえば、欧米社会には「日本は男性優位な社会である」という強い固定概念があります。エコノミストやニューヨークタイムスなど世界に影響を及ぼしうるメディアは日本の女性の地位の低さを頻繁に記事にしています。

政治や経済の重要なポストに女性が少ないのは事実であり、それは否定できません。しかし、歴史をみればそれは違います。室町時代までは世界的に見ても女性の活躍の度合いは世界に見劣りするものではありません。特に古代においては女性の活躍は目をみはるものがありました。

また日本は同一性が強いと思われていますが、言語は統一され、人々の習慣もある程度均一化していると思います。いま世界の潮流である多様性からは遠い社会であると。

しかし、室町時代以降は各地方の文化や産業が個性を持ちながら発展していきました。またアイヌや沖縄も独自の文化を持っています。日本は意外に多様性がある国なのです。

このように現代の海外から見た日本に対する固定観念を破るような話をすれば外国の方にささります。

(鬼塚)ありがとうございました。外国人にささる日本史を話すには、この5つのテーマに触れながら話すのがいいのですね。

(山中)はい。世界の有識者と話す時に、私の経験が少しでも皆様の役に立てばこの上ない喜びです。

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