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「コロナ後に激変」ヘッドハンティング会社会長が明かす、生き残るリーダーの”6つの条件”

妹尾輝男(コーン・フェリー・ジャパン会長),鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年05月13日 公開 2022年07月04日 更新

《世界52か国に現地法人を持ち、グローバル企業の幹部を中心にリクルーティングする、世界最大のヘッドハンティング会社「コーン・フェリー」日本法人の代表取締役を昨年8月まで務め、その後も会長職につきながら会社の中枢として活躍している妹尾輝男氏。

本稿では、そんな妹尾輝男氏に、作家エージェントで、かつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、このコロナ禍が去った後、世界はどう変わり、企業から求められる人材はどう変わるかを聞いた》

 

「この仕事はあの部署の管轄だから」が通用しなくなる

(鬼塚)新型コロナの影響で経済活動は大きく落ち込み、今後も予断を許さないですね。妹尾さんは、世界最大のヘッドハンティング会社「コーンフェリー」の会長でおられ、現在でも最前線で活躍されていますが、コロナ後のビジネス社会で価値ある人材とはどのような人材ですか?

(妹尾)会議があるから漫然と出席するとか、たまたま目の前にいる人に仕事を頼むとか、この仕事はどこどこの管轄だからその部署に回すというような、いわば習慣的、無自覚的な決定ではだんだん事が運ばなくなってきます。

そうではなくて、この問題についてはだれだれさんとオンラインでいついつまでに話し合って決定しようとか、この仕事は新しく転職してきた彼女の得意分野だから彼女に頼んでみようとか、うちの何々部署はこの分野での経験が少ないからこの仕事はむしろ外注に出してみようといったように、個別に自覚的、能動的にユニークな意思決定をする必要が出てきます。従来通りに仕事を進めるというのは、選択肢のうちで最後にくるものになってきます。

(鬼塚)コロナ後の世界で価値のある人材とは、前例や現行の規則にとらわれずに、常に先を読んで、現状に最も適した選択肢を少しでも早く採択し実行する、こうした思考や行動特性を持った人ということですよね。

(妹尾)はい。まさしく。今まで日本社会で評価されていた、まじめだが、自分からは積極的に攻めに出ない、いわゆる「指示待ちくん」は、早晩「絶滅危惧種」になってしまいます。

コロナ後の世界では「オフィスに出社する、イコール、働くこと」という従来の職場概念は崩れ、どこにいようが必要な時にいつでも付加価値を出すことを求められます。

付加価値創出の度合いがその人の価値を決めることになります。そうでないような社員は「付加価値ゼロ社員」として、じわじわとあぶりだされる運命にあります。

(鬼塚)働かない社員は「付加価値ゼロ社員」としてあぶり出され、不必要な人材として認識されるわけですね。かなりの競争社会になりそうで怖くもあります。

 

コロナ後のリーダーに必要な要素

(鬼塚)リーダーについてお聞きします。コロナ後に求められるリーダー像とはどのようなものでしょうか?

(妹尾)2020年がどういう年になるか、こういう状態ですから、世界の状況にしろ、日本の状況にしろ、まったくもって未知です。こういった確証の得られないものに対して、リーダーは常に仮説を立てなければなりません。

現状から考えると、2020年を大きく分けて、前半は安全、封じ込め、ビジネスの継続性、緊急事態対応に注力しなければならないと思います。後半はインセンティブの見直し、新規採用、イノベーションによる需要の取り込み、が重要なポイントとなるでしょう。

いずれのフェーズでも、通常とは異なりますので、こういう時こそ真のリーダーシップが問われます。その資質とは、環境に適応するアダプティブ・リーダーシップです。

アダプティブ・リーダーは危機的な状況をいち早く察知し、周囲とのコミュニケーションを強化し、チーム内の信頼とエンゲージを高め、そして、やがて来るべき市場の回復に備えてさらなる成長の準備を怠りません。

(鬼塚)今後1年間で、社会はどのように変化すると予測をし、その状況で何をすればいいかを考え、スケジューリングするということですね。

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