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「過労死ライン」を超える教師が6割以上…毎年5000人が休職する“学校の実態”

妹尾昌俊(教育研究家)

2020年06月26日 公開 2022年07月14日 更新

《いま、日本の教師は危機的状況にある。年間5000人が精神疾患休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。しかもその背景には、日本の教育の「構造的な大問題」がある、と全国の学校現場を渡り歩く教育研究家の妹尾昌俊氏は指摘する。

そこで今回は、そんな妹尾氏の著書『教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ない』から、「日本の教師の過酷な労働環境」について一部抜粋・編集の上、紹介する。》

 

過労死ラインを超えている教師が大半

近年、教師による過労死、過労自殺の報道が数多くなされています。しかしこのような状況にもかかわらず、「過労死や過労自殺といっても、ほんの一部に過ぎないのではないか」「一部の例を大げさに騒ぎ立てているのでは」という論調も目にすることがあります。

事実はまったくの逆で、教師の過労死や過労自殺は、全国どこの学校に起きても不思議ではない状態にあります。なぜなら、大勢の教師が過労死ラインという危険水準を超えて働いているという事実があるからです。

最も信頼できるデータが文部科学省「教員勤務実態調査」(2016年実施)です。これは、小学校400校と中学校400校の先生に、10~11月のある1週間のあいだ、30分ごとにどんな業務に従事したか逐一記録をしてもらったものです。

この調査によると、小学校教諭の33.4%、中学校教諭の57.7%が週60時間以上勤務、つまり月80時間以上の時間外労働をしており、これは過労死リスクが高まる過労死ラインを超えています(1日8時間勤務で週5日、40時間労働に対し、週20時間以上時間外勤務がある計算)。

しかも、このデータは学校内にいる時間についてのみの数字です。実労働時間としては、自宅等への持ち帰り残業を加えて考えたほうがよいでしょう。

公表されているデータは平均値しかないのですが、1週間に小学校は約5時間、中学校は約4時間の持ち帰り残業があるというデータもあります。したがって、週55~60時間労働の人でも、実際には週60~65時間働いている可能性が高いと言えます。

こう考えると、実質的に週60時間以上勤務の過労死ラインを超える人の割合は、小学校教諭の約6割(57.8%)、中学校教諭の4人に3人(74.2%)にも上ります。

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「電通事件より過酷」な長時間労働の蔓延

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