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テレワークで生き残る営業の必須条件…できる営業マンは「1日300分」商談する

藤本篤志(グランド・デザインズ代表取締役)

2020年07月31日 公開 2024年12月16日 更新

「来週から全社員原則テレワークになりますが、営業目標は変えません」
「もちろん、人と会うのは極力遠慮して営業してください」

人と会わずに営業する。そんな矛盾を突きつけられ、テレワークでの営業活動に突然放り出された営業マンが、コロナ禍をきっかけに大量発生している。

「こんな状況だから、営業成績を落としても仕方がない」。そう考える人々も多い中、オンライン商談に移行しても着実に成果を出し続ける営業チームには、共通した特徴がある。累計17万部を突破した『御社の営業がダメな理由』(新潮新書)をはじめ、多数の著作で知られる株式会社グランド・デザインズ代表取締役の藤本篤志氏。

本稿では、藤本氏の新著『テレワークでも売れる新しい営業様式~直接会わずに成果を出すテクニックとマネジメントとは』より、優秀な営業チームに共通する「絶対法則」について解説した一節を紹介する。

※本稿は藤本篤志著『テレワークでも売れる新しい営業様式~対面せずに成果を出すテクニックとマネジメントとは 』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

「1日300分」の商談時間を確保する

素晴らしい営業チームに共通する、絶対法則があります。それは、働き方バランスにおいて、1日平均の商談時間が240分を超えることです。そして、移動時間が商談時間の60%以内に抑えられることです(ベストは50%以内)。時間に換算すると、144分以内ということになります。

テレワーク時代のクライアントデータはまだ不充分なので、明確なことは言えませんが、少なくとも同様の240分以上の商談時間を確保することは必須です。移動時間が減る分、どれだけ商談時間を増やせるかが、今後注目されます。

実際に計算してみましょう。私の営業コンサルティングのデータ分析で判明している営業部門の平均残業時間は、1時間30分、つまり90分です。テレワークによって移動時間がなくなるので、仮に移動時間が0分とすると、平均移動時間144分から90分を引き、54分の時間が残ります。

その時間をすべて商談時間で使えば、240分に54分を足して、294分になります。およそ300分です。したがって、テレワークになることで、商談時間を300分以上確保するのも現実的だと思われます。事実、私のクライアント先から、テレワークによって商談時間が1日平均300分を超える優秀な営業マンたちも出てきています。

これらのことをベースに考えると、午前120分、午後180分、計300分の商談時間の確保が、プロセス目標になります。

もちろん、取り扱う商材、営業先の態様によって、1件あたりの平均商談時間は違ってきます。商談時間の平均が1件あたり60分であれば、図9のように、午前2件、午後3件が件数の目安となります。平均30分であれば、午前4件、午後6件となります。

 

商談「件数」だけ管理しても意味がない

商談の管理にあたって、重要な注意点があります。ほとんどの営業部門で習慣になっている件数だけの管理は、絶対にダメです。理由はかんたんです。件数だけで管理してしまうと、件数の数合わせでよしとする営業マンも出てくるからです。

これも、性弱説で捉えれば理解できます。本来の目的は、必要充分な1日の商談量を確保することなのに、楽に達成できる部分に逃げることで、「言われたことはやりました」と自分を正当化させたいのです。したがって、件数目標はあくまでも〝目安〟であって、本来の目標は240分〜300分の商談量をこなすことなのです。

このような説明をすると、「では、数合わせの300分は許されるということでしょうか?」というトンチンカンな質問をする人がたまにいます。机上の空論を言う人は、つねにこのような感じです。私の答えは、こうです。

「はい、そのほうがマシです。どうぞやってみてください。商談とは、相手があって成り立つものです。本当に、数合わせで1日300分の商談時間を稼ぐためにお客様が継続的に付き合ってくれますか?」

1日や2日であればできるかもしれませんが、1年、2年と数合わせの300分を継続させることは不可能です。なぜなら、中身のない商談に、ずっとつきあっていただけるお客様はいないからです。いずれ、アポが入らなくなります。中身のある商談があってこそ継続するのです。

オフィスワークの1日240分、テレワークの1日300分、どちらも楽な目標ではありません。しかし、その目標を達成するための努力と工夫が、豊富な商談練習量に裏打ちされた優秀な営業マンを育てることになります。

以上のことから、テレワークでは1日平均のプロセス目標としての商談時間の設定が必要不可欠であり、そのための活動目安として、商談件数があるということです。この関係の重要性を認識することが大切です。

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