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気づかないうちに… “スマホを手放せない体”に共通する生活習慣

黒田美帆(「魔法のストレッチ講座」代表)&大村佳子 (インストラクター)

2020年08月03日 公開 2024年12月16日 更新


(Yiu Yu Hoi/The Image Bank/ゲッティイメージズ)

『魔法のストレッチ講座』を主宰する黒田美帆先生は、いわば硬い体を柔らかくするプロフェッショナル。講座を通じてこれまでに5000人以上の柔軟性を改善させてきた。

体の硬さと表裏一体なのが、ネコ背に代表される姿勢のゆがみ。黒田先生によれば、ふだんの姿勢が精神状態にも大きな影響を与えているという。詳しく話を聞いた。

※本稿は黒田美帆・大村佳子著『魔法のストレッチ』(マキノ出版)から一部抜粋・編集したものです。

 

スマホ依存に「体の硬さ」が関係

「スマホを見るのをそろそろやめよう」と思ったとき、あなたは潔くスマホを置いてシャワーを浴びたりベッドに入ったりすることができますか?

いったんスマホをいじり始めるとネットニュースを見続け、SNSのチェックも止まらない。気づけば2~3時間が経っていた。そんな経験をしたことは?(私にはあります)

やめようと思ってもやめられない状態は"スマホ依存"と言っていいかもしれません。このスマホ依存が実は、あなたの体の硬さに関係していたとしたら……というのが今回のお話です。

スマホをやめられないことが体の硬さに関係しているなんてピンとこないですよね。しかし体を硬くする生活について考えてみると、この悪癖と体の柔軟性とのつながりが見えてきます。

まずは日常生活で体が硬くなっていく要因から話を進めましょう。

 

姿勢の崩れが体を硬くする

学生の頃は柔らかかったのに社会人になってずいぶん体が硬くなった。そういう声を聞くことがあります。ここでは社会人の方(特にデスクワーク系の職業)が体を硬くしやすい3つの要因を紹介します。

1つめの要因は、同じ姿勢でい続けること。

ずっと座りっぱなしの方、多いですよね。毎日何時間も同じ姿勢で過ごし続けて体をほとんど動さなければ、特定の筋肉に負荷がかかり他の筋肉はほとんど使わないということになります。

筋肉は酷使し過ぎると硬くなり、逆に使わなさ過ぎても縮んで硬くなります。姿勢を固定しがちな生活は筋肉の性質から見たとき、体を硬くしやすい生活と言えるのです。

2つめの要因は、姿勢の崩れ。このような姿勢で仕事をしている人を見かけたことはありませんか?

・姿勢(1)
デスクのパソコンに顔をぐっと近づけた前のめりの姿勢。背中が丸まっている。立派なネコ背と言えそう。

・姿勢(2)
イスの背もたれに寄りかかり、お尻(座骨)の近くではなく仙骨のあたりに体重をかけて座っている姿勢。電車でもたまに見かける。

両者は代表的な姿勢の崩れですが「このほうが楽なんだ」という人もいるかもしれません。しかし体には着実にしわ寄せがきています。

(1)(2)の姿勢を試してもらうと前者では肩や首、後者では腰に力が入るのを感じられるはず。筋肉の性質は「使い過ぎると硬くなる」でした。肩や腰に毎日負荷がかかり続ければ、そこはやがてコリとなり、悪化すれば肩こりや腰痛になります。

 

慢性的な緊張で体はさらに硬くなる

3つめの要因は、慢性的な緊張です。

自律神経という言葉を聞いたことがあるかと思います。自律神経は2種類あり、1つは興奮時やストレス下で働く交感神経、もう1つがリラックス時に働く副交感神経。状況に応じてそれぞれの神経が優位になることで、私たちの生命活動は支えられています。

ここで肝心なのは、交感神経が優位になっているとき体には自然と力が入って緊張状態にあるということです。

あなたが職場で仕事に集中しているとします。多忙で休憩も取れず、パソコンを1日見ていたせいで目がショボショボしてきました。残業は確実。とてもストレスフルな状況です。ここで働いているのがまさに交感神経。こうした状況が続けば体は慢性的な緊張にさらされ、どんどん硬くなっていきます。

では仕事が終わって帰宅したら緊張から解放されてリラックスできるかというと、そうとも言えません。スマホなどでゲームやSNS、情報収集に夢中になるような状況でも交感神経は優位になるからです。

同じ姿勢でい続けること、姿勢の崩れ、交感神経による慢性的な緊張。ここに運動不足を加えたなら、加速度的に体が硬くなっていくのが想像できるかと思います。

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硬い体では深呼吸がしづらい

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