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調教師・矢作芳人氏の眼「コントレイルにはまだ眠れる力がある」

矢作芳人(調教師)

2020年10月23日 公開 2022年08月15日 更新

 

コントレイルは凱旋門賞を狙えるのか?

――無敗の二冠馬・コントレイルに注目するファンも多いでしょう。どのような可能性を秘めた馬だとお考えですか。

まだ奥に眠った力があると感じています。コントレイルは神から与えられし名馬です。無敗の二冠馬として、今年10月に開催される菊花賞に期待されるのは、「無敗の三冠馬」の称号です。

フランスの最高峰レースであり、調教師としての最大目標である凱旋門賞にも挑戦したい。しかし、100年という歴史のある凱旋門賞では、日本はおろかアメリカの馬も一度も勝った経験はなく、つねにヨーロッパの馬が勝利を収めてきました。

欧州の馬場は日本のそれより重く、スピードが出なくなるのです。スタミナよりスピード重視で、体重の軽いコントレイルがその環境に向いていない可能性もあります。

⼀⽅で、コントレイルのような良馬に出合うことは一生に何度もない。最大の夢に挑戦したい気持ちは強くあるのです。

ただ同時に、コントレイルには競⾺界に優秀な⼦孫を残す使命があります。種牡馬としての未来を想ったときに、故障させず無事に引退させることも調教師の⼤切な仕事。はたして、慣れない環境によって、ケガのリスクが高まる海外レースへ参加するべきなのか。

こういった調教師としての⼆律背反する葛藤を抱えながら、⾺にとって最善の道を決める。調教師としての⼤きな使命を感じます。

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