ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。
今回、紹介するのは『感情はコントロールしなくていい』(石原 加受子著、日本実業出版社)。大人になると意識しがちな“感情のコントロール”について、仕事や人生に及ぼす影響も交えて説きます。
この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説します。
人のネガティブな気持ちに徹底的に寄り添う
「自分の感情は抑制して人や会社のために尽くそう。」 もしかしたら、あなたもそう考えているかもしれません。人様に迷惑をかけてはいけない、と育てられた人も多いでしょう。
本書のタイトル『感情はコントロールしなくていい』と聞くと、人によっては自分勝手さを助長するように感じられるかもしれません。ただ、本書の内容はそのようなものではありません。
一貫して語られているのは、自分自身をポジティブにとらえて受け入れることです。すると、感情に向き合うことができるようになり、生きやすく、行動をしやすくなるのだといいます。
本があつかう「知」も本の魅力も様々ですが、本書は徹底的に人のネガティブな気持ちに寄り添っていることが特徴です。仕事をする上では、ネガティブな感情を出すと周りの人に迷惑をかけるだけでなく、人事評価が下がるため、自分の中に閉じ込めてしまいがちです。
積み重ねていくと、無意識的に自分に劣等感を感じるかもしれません。ネガティブな感情は誰もが持っています。悩みあるビジネスパーソンの救いの本として、位置付けられる一冊です。
「なぜ怒りの感情が生まれてしまうのか」を教えてくれる
本書はまず怒りについて触れています。人は誰でも固有の事情があるため、ある特定の出来事でもプラスになる人もいれば、マイナスになる人もいます。特定の出来事に対してマイナスの影響を受ける人々が、怒りを感じる予備軍です。
怒りと理性は別のものだと考えている方も多いかもしれません。ただ本書によると、怒りには目的があるのだそうです。例えば、親が子供に怒鳴るのは、子供に黙って従わせるという目的があります。
家族でも友人でも怒鳴り合うのは、無意識のところで孤独感を抱いていて、その境遇に対して怒りを感じているからかもしれません。つまり、一人ぼっちになるのが怖いのです。
会社ではどうでしょうか。怒っている上司は、部下に言うことを聞いてもらいたいと思っていることが多いように見えます。自分の価値観や目標を阻害する現象に直面した時に、怒る人もいるでしょう。やはり、怒りには目的がありそうです。
怒りへの向き合い方には注意が必要です。怒りの目的が何であれ、目標などが達成できず周りからの評価が得られないときに、人は怒りが生じるもののようです。
そのような他者承認ではなく、自己承認を大切にすることで、怒りから解放されます。自分の気持ちや感情や欲求を大事にした選択をして、まず自分自身を認めるように心がけると良いといいます。怒りを感じたら、無意識からのメッセージだととらえて、怒りを感じる理由を理解することが大切です。