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「読んだ本の内容」を忘れなくなる“記憶のテクニック”

池田義博(記憶力のグランドマスター)

2021年03月02日 公開 2024年12月16日 更新

「ゆっくりしっかり読んだはずなのに、読み終わるとほとんど内容を覚えていない」。こんな、あたまに残らない「読んだつもり」の読書では読書の意味がありません。では読んだら忘れない読書をするためにはどうすればいいのか?

脳には物事の全体像を常に把握したいという性質があります。この性質を読書に応用してしまうのです――この度『一度読むだけで忘れない読書術』を上梓した世界記憶力グランドマスターの称号を持つ池田義博氏はいう。日本記憶力選手権で6年連続日本一に輝いた同氏に脳の原理に沿った本当に正しい読書を教えてもらった。

※本稿は池田義博著『一度読むだけで忘れない読書術』(SBクリエイティブ)より一部抜粋・編集したものです。

 

脳は節約家。でも全体像を見せると…

受験や資格試験の勉強法には隠れた「王道」があります。隠れたという意味はこの勉強法が試験勉強に極めて特化されたものだからです。

その王道とはずばり「過去問の問題と答えを先に全部読んでしまう」という方法です。受験や資格試験には当然ながら期限というものがあります。その限られた時間の中で学習の生産性を上げる一つの方法がこの方法です。

つまり最初からじっくり問題を解いていくことに時間をかけずに、まずは、さっさと過去に出題された問題と答えを読んでしまおうということです。

これの一番の目的は試験勉強の無駄を省くことにあります。出題傾向などが毎回同じであるのならば当然その情報は知っておくべきだし、それはずるくも何でもなく、最終的な目標である試験というものに合格するためには当然の戦略です。

またこの方法は脳の性質からも理にかなっているのです。脳にはものごとの全体像を常に把握したいという性質があるのです。

脳は無駄なエネルギー消費を避けるように設計された器官です。そのため先が見えない状況で接する情報に対しては、どれが重要でどれが重要でないかの判断をする機能は活性化しません。

しかし全体像を見ることができると働き始め、その全体像を完成させるためにまだ足りないものを優先的に教えてくれるのです。教えてくれるとは重要なものに意識が向くように仕向けてくれるということです。

限られた時間しかない中で合格のために必要のないことを捨てて、無駄な勉強はしない、やるべきことだけに注力するというのは合理的です。

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読書に心理学を利用する

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