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「君はどうしたい?」の一言に凝縮…リクルートに受け継がれる天才のDNAとは?

大賀康史(フライヤーCEO)

2021年05月06日 公開 2022年01月13日 更新

ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのは『起業の天才 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(大西 康之(著)、東洋経済新報社)。

この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。

 

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

この言葉を生み出すことができる人は、間違いなく「天才」ではないかと思います。事業の本質を指し示す社訓に、誰もが感銘を受けるのではないでしょうか。

その人は本書の主役であり、リクルートの創業者である江副浩正です。

リクルートという会社に何をイメージするでしょうか。本書の後半で触れられるリクルート事件を思い出す人はもう少数派かもしれません。

2021年4月現在では、時価総額8兆円を超える巨大グループとなっています。

事業そのものを超えるほど働いている人に魅力があって、スタートアップの世界へも数多くの起業家が巣立った、日本を代表する人材輩出企業とも言えます。

もう一つリクルートで特徴的なのは、「君はどうしたいの?」という言葉ではないでしょうか。

普通の会社では、市場環境や自社の戦略などに沿った企画が賞賛されるものです。リクルートではそれに加えて「君はどうしたいの?」と何度も問う習慣があって、企画者当人のコミットメントを明示的に求めるそうです。

ビジネスは人が作るものです。メンバーの意志を大切にしたマネジメントをしていくと、短期的には失敗もありますが、長期的には優れた人を惹きつけ、大きな事業を創るのでしょう。

そのリクルートの根幹となるカルチャーを創り出したのは、江副浩正その人であることは、本書の端々から伝わってきます。その内容を紹介していきます。

 

江副浩正が歩んだ道程

江副浩正は昭和11年に大阪で生まれ、生母の他に継母が2人いました。

「浩正、おまえは軍人か、(中略)検事になるか、名前が新聞に載るような人間になれ。少々悪いことでも構わん。ただし、刑務所に行くようなことは絶対にしてはならん」という祖父の教えに近い人生を歩みます。

華々しく事業を成功させ、新聞に載り、そして検事に取り調べを受ける側になります。

1955年に東京大学へ入学。時代は全学連の活動の全盛期で、キャンパスでの集会では、社会党や共産党の国会議員が演説をしていたといいます。大学時代のアルバイトとして始めた東大新聞の広告営業で、リクルート創業につながる経験がありました。

営業がうまくいかず困り果てていたときに、朝日や毎日などの新聞を見て気付いたのが、求人広告の多さでした。

広告営業の焦点を求人に合わせてからは、破竹の勢いで出稿を獲得し、個人のコミッションフィーで現在の400万円相当の金額を月次で稼ぐまでになりました。

東京大学を卒業して、「大学新聞広告社」(後のリクルート)を創業したのは1960年でした。世の中の常識を覆した求人広告だけの雑誌『企業への招待』を1962年に創刊。

求人広告雑誌を学生に無料で直接配るという前代未聞のビジネスモデルを築いていきます。そして、1963年には「日本リクルートセンター」に社名を変更しました。

トヨタやホンダなどの成長企業も顧客になり、事業が軌道に乗った頃、老舗のダイヤモンド社が競合誌『就職ガイド』を発刊します。「二位になることはわれわれにとっての死」とまで言い切った江副は、その後も続々と現れる新規参入者に打ち勝っていきました。

『住宅情報』などで同ビジネスモデルの横展開を拡大させながら、安比のスキーリゾートの成功を経て、不動産事業に本格参入します。

バブルという時代背景の中で、後のリクルート事件の中心となる「リクルートコスモス」の事業に江副浩正は傾倒していきます。

その頃から、財界人や政治家との会食が多くなり、リクルート社内で行われる取締役会でも江副は酒臭かったといいます。

そして、バブル絶頂の1988年、朝日新聞の報道を皮切りに贈収賄事件として有名なリクルート事件が発覚。江副浩正は経済人としての生命を絶たれていくのです。

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採用への集中投資と社員皆(かい)経営者主義

著者紹介

フライヤー(flier)

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