ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。
今回、紹介するのは『インスタグラム 野望の果ての真実』(サラ・フライヤー著、井口 耕二訳、NewsPicksパブリッシング)。
この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
インスタグラムとフェイスブック、それぞれの創業者
サービスのリリース後、急激に成長したインスタグラムは、2012年にフェイスブックが約10億ドルで買収。その後も順調に成長を続け、2018年には月間アクティブユーザ数が10億人を超えたと言われています。華やかな数字を達成したその年に、2人の創業者が退任しました。その激動の日々が語られます。
インスタグラムの創業者は、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーの2人。本書はCEOを務めたシストロムの視点を中心に描かれています。
フェイスブックの象徴であるマーク・ザッカーバーグのような存在は、インスタグラムではシストロムでした。フェイスブックとインスタグラムという2つのサービスと、ザッカーバーグとシストロムという2人の創業者が対比されていくところが、この物語の醍醐味であり、人の内面を感じさせるところでもあります。
本書は「フィナンシャルタイムズ&マッキンゼー ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞しました。インスタグラムを舞台とした成功と葛藤が混ざり合う、人を惹きつける物語は2010年に始まります。
インスタグラムの創業
ハーバード大学で生まれたフェイスブックが、わずか1年で全米の大学で使われるようになった頃、ザッカーバーグとまだスタンフォード大学の学生だったシストロムは出会います。フェイスブックで写真を使えるようにする機能を、シストロムに作ってくれ、というのです。
その誘いを断ったシストロムは、スタンフォード大学に残り、芸術の都フィレンツェに留学しました。そこで出会った先生に持っていたカメラを取り上げられ、代わりに渡されたのはピントの甘い正方形の白黒写真しかとれない代物でした。その経験が正方形の写真が印象的な、インスタグラムというサービスが生まれる原体験になったことは言うまでもないでしょう。
インターン時代には、まだ一介のエンジニアだったジャック・ドーシー(のちのツイッター創業者)とも出会います。シストロムはクリーガーとともにバーブンというサービスを開発していきます。
著名なベンチャー・キャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツやジャック・ドーシー等から50万ドル強の投資を得て、「写真」に焦点を定めたプロダクトを作成しました。フィルタ機能も付加した上で、インスタグラムをリリース。初日でユーザ数は2万5000人に達しました。