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人間の本能? 「白線の上だけ歩くゲーム」をやりたくなる理由

石川幹人(明治大学教授)

2021年10月25日 公開 2022年03月07日 更新

「なぜ穴を見るとのぞきたくなるの?」「普通って誰が決めるの?」「怖い夢をみないようにはできないの?」ー子どものころ、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。その疑問、学者が本気で回答します!明治大学教授で認知心理学、進化心理学の第一人者の石川幹人氏が実際の小学校6年生まで子どもたち、または大人が子どもだったころに抱いていてた疑問・難問に全力でお答えました。

本記事は『なぜ、穴を見つけるとのぞきたくなるの?』(朝日新聞出版)からの一部抜粋です。

 

押入れやテントの中...せまい場所に入るとホッとするのはなぜ?

それは安全地帯にいる気分になるからです。あなたは「秘密基地ごっこ」をしたことがありますか。私が小学生の頃は、近所に空き地がいっぱいあって、その一部には土管がいくつかまとめて置いてありました。

円筒状の土管の一つひとつは子どもの体よりちょうど一回りほど大きく、中に入ると外からは見えなくなり、包みこまれるような安心感がありました。

そうした空き地は格好の遊び場で、私も近所の子どもたちと一緒に「敵が来たぞ、隠れろ」と叫びながら、秘密基地に見立てた土管のそれぞれに走りこみました。しばらくしてもう安全となったら、出てきて無事であることを喜びあうのでした。

 

秘密基地ごっこは「戦闘行動の練習」

「秘密基地ごっこ」は襲ってくる敵から隠れてやり過ごす練習です。動物には、襲ってくる捕食者に対して危険を感じ、戦う、逃げる、隠れるなどの対処行動をとる本能があります。私たち人間にもその本能が備わっています。

しかし、子どもの時期には、腕力や走力が未熟なので、まずは隠れることで身を守ろうとするのです。つまり、戦うや逃げるより、子どもとして有効な隠れるという行動を練習して、将来の危険な事態に備えるように遺伝情報が発動しているのです。

現代の文明社会ではそうした危険な事態はほぼありませんがそれでも遺伝子のしわざによって危険に対して準備しておかないと気がすまないようになっています。だから遊びなどの想像の世界で練習するのです。

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安心感がわくわくにつながる

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