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社会

なぜイノベーションは必要なの? 世界が注目の15歳科学者が訴える「若者の責任」

ギタンジャリ・ラオ(著)、堀越英美(訳)

2021年12月23日 公開

10代の若さで「水道水から鉛を検出する装置」「鎮痛薬依存症の早期診断装置」「いじめ防止アプリ」を次々と開発し、アメリカの各方面から高く評価されるギタンジャリ・ラオ氏。

科学技術を駆使してイノベーションを起こすために、高額な機器も、最高の研究室も必要ないと彼女は言う。では彼女を突き動かしているモチベーションは何か、イノベーションを生む原動力は何なのか。同じ10代に向けたメッセージとともに紹介する。

※本稿は、ギタンジャリ・ラオ:著、堀越英美:訳『ギタンジャリ・ラオSTEMで未来は変えられる』(くもん出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「生きがい」とは何か?

「Ikigai」――私は「自分の未来は自分で創れる」といった気のきいた格言や、人生の目的を決めつけるような外来語風の言葉があまり好きではありませんでした。でも、言葉ではいい表しがたい多くの理由で、「生きがい」という言葉はすんなりと私の中に入ってきました。

「生きがい」とは、「生きていく動機」を意味する日本語です。私はいろいろな国の思想から文化的な影響を受けるのが好きなので、この言葉の意味するところをもっと知りたいと思いました。この言葉の理解を深めるため、自分の「生きがい」の発見を目標にすることにしたのです。

自分の好きなこと、やりたいこと、情熱の対象、自分が生きていく動機――自分の「生きがい」を発見するのは、一筋縄ではいきません。私はノートとペンをもって机に向かい、好きなことを書きとめました。

自転車に乗ること、本を読むこと、友だちとぶらぶらすること、パンを焼くこと...リストをながめても、今ひとつピンときません。読書もパン作りも、自分が何者であるかを本当の意味で説明するものではありませんし、私の特性をあまりとらえていません。

自分を本にたとえるなら、それらは表紙のようなものです。何をするか、どのように生きるか、自分が望んでいることを説明する本文とはいえません。雨ふりの火曜日をノートに向かってすごすくらいでは、生きがいは見つかりそうにありません。これは長い道のりになりそうだなと思いました。

さて、なぜ私はこんな話をしているのでしょう? お伝えしたかったのは、あなたも自分を作りあげるものとは何かを知らなければならないということです。他のだれでもないあなたらしさを形作るもの。あなた自身が生きる理由です。

私は自分が何者であるかを知るために3年の歳月を費やしたあと、自分の「生きがい」を見つけました。

私は単にイノベーターというだけではありません。私はアイデアを発展させ、科学を社会変革の触媒として利用し、自分の知識を世界に広めています。アウトリーチ活動を通じて、イノベーションに若者が参加する重要性を訴えることへの情熱が、私の「生きがい」です。

 

私たちをとりまく「いくつもの問題」

この話を続ける前に、イノベーションについて話しましょう。なぜイノベーションを起こしたり、問題解決にとりくんだりしなければならないのか? これらが重要である理由は、実行しないとしても最低限理解しておく必要があります。

私たちは、50年前には存在しなかった問題に支配された世界で育っています。地球温暖化、気候変動、思春期のうつ病、天然資源の汚染、野放しの人口増加、パンデミック、ネットセキュリティ、長距離宇宙旅行、ネットいじめ。これらはほんの一例にすぎませんが、私たちの生活の一部であり、それぞれが固有の問題を抱かかえています。

私は、新型コロナウイルスのパンデミックのさなかにこの本を書いています。世界でパンデミックがおこるのが、これで最後だとは思えません。学校にいくこと、友だちと遊ぶこと、買い物をすることなど、あたり前と思っていたことがガラリと変わってしまいました。

私の頭の中には、ずっと疑問がうずまいています。ワクチンをもっと早く生産する方法はないのだろうか? 接触確認や隔離よりよい方法はないのだろうか? ウイルスを迅速に死滅させる、安くて良質なナノフィルターやマイクロビーズはあるのだろうか?

こうした問題に対処することは、私たちの世代の責任です。すべてを解決することはできないかもしれません。でも、何が問題であるか、どうすれば救えるか、どうすれば意識を高めて行動に結びつけられるかを明らかにする私たちの責任は、少なくとも理解しておいたほうがよいでしょう。

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問題を解決するには、とにかく行動

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