なぜイノベーションは必要なの? 世界が注目の15歳科学者が訴える「若者の責任」
2021年12月23日 公開
問題を解決するには、とにかく行動
幸いなことに、課題には事欠きません。たとえば、私が水中の鉛を検出するデバイス「テティス」について考えはじめたころは、ほとんどの州で飲料水に含まれる鉛を検査するための連邦法はありませんでした。しかし水道汚染問題について理解し、それを話すことで変化はおきます。
実際そのとおりになりました。テティスが報道されたあと、インド、ブラジル、その他の国の大学や個人が環境試験のためのナノ材料の研究に投資しました。今では、同じテーマの研究論文をいくつも目にするようになっています。
私が直接影響をあたえたかどうかはともかくとして、彼らはみな、正しい方向に向かって歩みを進めています。この話からわかるのは、私たちはとにかく行動をおこすことによって、議員、大学、組織、政策決定者たちに、たしかに影響をあたえることができるということです。
はじめは「こんな複雑でややこしい問題、ひとりで解決するなんて無理」と思うかもしれません。でも、問題を解決するのに博士号をもっている必要も、特別優秀な学生である必要もないことは、私が保証します。
「生きがい」の話にもどりましょう。あなたが「生きがい」を見つけることができたなら、必要なのはあなたの決意と情熱だけです。あせらず、時間をかけて、どんな自分になりたいかを把握してください。
あなたの「生きがい」は、イノベーションの過程で実践することができ、それはさらなるイノベーションにつながります。
アートでも問題を解決できる
私がこの考えを紹介したとき、ある女の子が、自分の「生きがい」はクリエイティブであること、そして自分のアートを人に伝えることだと教えてくれました。
アートでも問題を解決できることをご存じでしたか? たとえば紙を折って作る日本のアート「折り紙」は、火星に着陸したときに展開するコンパクトなソーラーパネルの設計に応用するため、NASAでも積極的に研究が進められています。他にもアートを使ったこんな解決方法があります。
【問題】地域社会や学校にリサイクルボックスがあるにもかかわらず、リサイクルが行われていない。
【解決】あなたの絵でポスターを制作する。もしくは芸術的才能を駆使してスーパーヒーローを作る。リサイクルへの認識をもってもらうためにそれを生徒や先生たちに伝えたり、校長先生に依頼して毎月告知したりしてもらう。
また別の男の子は、自分の「生きがい」はまだ具体的には決まっていないが、スポーツやサッカーの経験を活かして人を助ける道を見つけることだと思うと語っていました。さて、サッカーで人を助けるにはどうすればいいのでしょうか?
【問題】学校でチームメンバーと一緒にプロジェクトにとりくんでいるが、おたがいにまったくかみ合っていないし、信頼関係がないようだ。
【解決】サッカー場に出て、練習試合をしてみよう。1時間ほどプレーして、たがいに信頼を築き、ものごとにとりくむときのそれぞれの姿勢を知ろう。