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「あなたと一緒に仕事をしたい」と思わせるには“たった5分”

小宮一慶(経営コンサルタント)

2011年01月11日 公開 2022年06月21日 更新

 

優先順位は「お客様」「従業員」「お金」

この3つのためになるかどうかが、私の意思決定の基準です。クライアントに対する時も、その順番で意思決定しているかどうかを見ています。また、確固たる判断基準をもっているということは、意見がプレないということを意味しますから、周囲の信頼も厚くなります。

こうして、固い信頼関係で結ばれた人脈がつくられていく。お互いに信頼できる相手と仕事ができる。ビジネスパーソンとしてこれほど幸福なことはありません。

判断の基準を身につけたら、あとはその基準に従って会話を進めていくことです。そして、基準に従って正しく会話できたか、振り返る習慣も身につけてください。もっとも手軽で確実な方法は、毎日の会話を後で思い出し、検証してみることです。

私たちは、そうやって過去を省る習慣がないかぎり、小さな判断ミスを発見することができません。ですから本来なら、会話のみならず、あらゆる判断について"振り返り"を行ったほうがいいのです。

例えば、毎朝の通勤時間もトレーニングに使えます。その日に乗ったのが何時何分の電車だったのか覚えている人も多いでしょう。では、乗った車両は前から何両目でしたか?ドアはその車両のいくつめだったでしょうか?

私はすべて覚えています。例えば、小田急線は2両目の前から3つ目のドアから乗った、総武線は前から3両目の2つ目のドアから乗った、というようにです。

なぜ覚えているのかというと、電車の乗り換えや利用する出口に対して、それが最短ルートでベストであったかどうか、私はその時々反省する習慣をもっているからです。

道を歩く時にもある基準に従います。それは、知っている道と知らない道があれば、急いでいない時は、知らない道を選ぶというものです。なぜなら、知らない道を歩くことで、それまでになかった新しいインプットを得られる可能性があるからです。

お店が綺麗なディスプレイをしていたり、新しい商業ビルが建設中だったり、お客様に話をする材料にだって出合えるかもしれないのです。しかし、急いでいる時は別です。道を間違えると、アポイントの時間に遅れて、これが致命傷になることもあるからです。

 

小さな判断を間違えなければ、大きな判断を間違えない

ビジネスの現場では、小さなミスが命とりになります。そんなミスを防ぐには、常に、自分が話した内容と、そこから派生する行動が正しかったのかどうかを後になって反省する習慣が必要です。

さもないと、その判断が正しかったのかどうか、検証されないまま毎日を過ごしてしまうことになります。ミスを修正することもできず、したがって、再びミスを犯す。ミスを繰り返す人生がずっと続く。日々たくさんの小さな判断を下さなければならないビジネスパーソンとしては致命的です。

私の仕事は、経営コンサルタントとして取引先の意思決定を助けること。つまり、私自身が意思決定を間違わないことが仕事といってもいいぐらいです。

ですから、細かな判断の正誤にこだわらないわけにはいきません。電車の乗り換えのような、一見瑣末と思えることであっても毎日気にかけるのは、そのためなのです。

人と会った時に5分でもいいから、誠実に関心をもって会話に臨みましょう。その5分は自分のためではなく、相手のために使う5分だと考えてください。

すると相手が何を求めているのか、どんな言葉を欲しているのか、分かるようになってくるのです。そうなると、会話が楽しくなり、思わぬ知識を吸収でき、さらに自分の誠実さを理解してもらえるのです。

やがて、たった5分の会話から新たな人間関係やビジネスが生まれます。その時わずか5分が、かけがえのない5分になるのです。

 

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