数々の健康機能が認められる甘酒
味噌などの発酵食品の摂取量が減っている日本人にとっては、甘酒は手軽においしく飲めて、腸を元気にする切り札になり得るでしょう。甘酒には、米麹で作るタイプと酒粕で作るタイプがありますが、腸冷え対策には両者とも役立ちます。
酒粕は少量のアルコールが含まれるので、未成年者はもちろん、お酒に弱い人やお昼などでは、飲用に注意が必要です。米麹タイプなら、そうした心配なしに飲むことができるでしょう。
先にも述べましたが、以前より試験管内での実験で、麹菌から産生される酸性プロテアーゼという酵素が、ビフィズス菌を増加させる作用があることが指摘されていました。
2016年、広島大学大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授らによって、動物実験ではありますが、腸内で麹菌の酸性プロテアーゼがビフィズス菌を増加させることが提示されたのです。それは次のとおりでした。
彼らは、天野エンザイム株式会社との共同研究により、ラットを使った動物実験において米麹菌から産生される酸性プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が腸内ビフィズス菌を著しく増加させる因子であることを発見したのです。
これまで、麹菌発酵ゴボウや米麹が腸内のビフィズス菌を増加させる現象は、すでに加藤教授らによって確認されていました。しかし、どのように作用しているかは、明らかではありませんでした。
今回の報告は、酸性プロテアーゼの健康への直接の効能を示すもので、麹菌発酵食品の効能を探るうえで、まったく新たな突破口を開くものです。米麹には麹菌が産生する機能性成分が含まれています。米麹を原料とする甘酒にはこの機能性成分の多くが含まれており、甘酒を飲むことによる効能が期待されます。