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生き方

「なんで勉強せなあかんねん!」 弟の問いに中学生だった長男・菅田将暉が出した答え

菅生好身(一般社団法人ライフバランス協会代表理事)

2022年02月07日 公開 2024年12月16日 更新

2022年には、成人年齢が18歳になります。多くのお子さんが高校を卒業する年齢で、大人への仲間入りをするのですね。子どもを育てる親にとって、18歳はひとつの区切りだと思います。それを機に親元を離れるお子さんは少なくありません。

長男は、16歳で菅田将暉として『仮面ライダーW』の主演が決まり、しかもいきなり1年間にもおよぶ撮影期間に突入しました。芸能界へ旅立つ長男ーーその日は、思っていたより突然やってきました。

同時に、次男、三男も、時がたてば家を出る日がくるとあらためて意識し、子育ての1日1日がかけがえのないものだと感じられました。子どもとともに過ごす時間の中で、人生の先輩として「親が子どもへ授けられるもの」についてお話ししたいと思います。

※本稿は、菅生好身 著『3兄弟のあしあと 〜才能の芽を育んだ菅生家の子育て記』(辰巳出版)を一部抜粋・編集したものです。

 

"心配"より"信頼"

あるお母さんから、こんな相談をされました。社会人になっている息子さんが、生活に関することを何もできないそうです。いずれひとり暮らしをするだろうし、結婚で家を出ることになるかもしれない。うちの子はやっていけるのか......ということでした。

いくつになっても心配する気持ち、とてもよくわかります。ですが、相談者のお母さんから、なんでも先回って息子さんの手助けをするのだと聞いて最初に思ったのは、「もったいない!」でした。きっと息子さんは、自分でなんでもできたのです。

とくに生活のことは、お手伝いという形で早い年齢からはじめれば、たいていのことは身につきます。お母さんは、子どもには家のことよりも学校の勉強をさせたほうがいいとか、自分でやったほうが早いとか、そう思って息子さんにさせなかったのでしょう。それが息子さんから習得のチャンスを奪うことになっていました。

"心配"は子育てには常についてまわるものです。でも心配は、自分の中にあるもので、これは"我"だと思うのです。私にも、そうして子どものチャンスを潰してしまいそうなときはありました。でも「心配より、信頼」。子どもを信じて、やらせてみる。その体験から、子どもは学びます。

失敗したらどうしようと思うのなら、親がすべきは先回ってそれを止めるのではなく、近くで見守ることです。そして必ずできると信じて、応援することです。失敗してもいいじゃないですか。そこで親が「やっぱりダメだった」という顔をするか、「もう一度やってみようか」と励ましてくれるかが、子どもにとっては分かれ目です。私はこれこそが"信頼"だと思っています。

 

親の仕事を見せるということ

子育ての中で実践してきたことのひとつが、「親の働いているところを見せること」です。親が仕事をしていることはかなり幼いうちに認識できるようになりますが、具体的にどんな仕事をしているかというと、意外と知らないものです。ある程度成長してからも、たとえば会社員、公務員、部長、営業マン......というようなことは知っていても、具体的なお仕事の内容は聞いたことがない子どもがほとんどでしょう。

子どもたちの父親は経営コンサルタント。大人でも、具体的に何をしているのかわかりにくい仕事です。そこで、子どもたちを頻繁に父親の仕事場に連れていきました。百聞は一見にしかずです。その場は主に講演会や取引先との会食。いずれも子どもが来るところではないと思われるかもしれませんが、主催者である父親が彼らを招いていました。

人生のうち、仕事にかける時間は膨大なものとなります。だからこそ、親の仕事を見せることは、生き方を見せることにもなります。子どもは親の背中を見て育つといいますが、ときには黙って見せるだけでは足りないのかもしれません。どんな仕事をしているのか、そこにどんな哲学や想いを持っているのか。直接見せることがむずかしくとも、子どもにもわかるよう話して聞かせるなど、きっといろんな方法があるのだろうと思っています。

3人の息子たちに、当時のことを聞いてみました。

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(3兄弟コメント)
長男
父の仕事を知れて、全部はわからなくても、子どもながらにリスペクトがあったと思います。父の仕事場にはそれぞれのスペシャリストがたくさんいたので、世の中にあるものは誰かが作っているんだと理解するのが早かったし、何事にも物怖じしないところ、それは間違いなくいまの仕事に活きてます。

次男
子どもながらにいろんな経営者の方の考え方を聞けて、お金のためじゃなく人のために仕事をするという意識が自然と身についたと思う。

三男
全部興味津々で、ほかの同級生ができない体験だと思ってた。子どものうちから大人の方と堂々と話せるようになったことにつながっているとも思う。
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幼いころから大切さを伝えてきた「挨拶」

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