人生百年時代といわれますが、日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10歳(男性約9年、女性約12年)あります。健康寿命を延ばして、この差を縮めるためには、何よりもまず質のよい食事をとることです。健康な生活を送るために必要な栄養をきちんととって、病気にならない丈夫な体をつくり、維持することが大切なのです。
若いうちから、しっかり栄養をとることができていれば、将来のからだの不調を予防することができます。生活習慣病や風邪などの病気を予防する効果が期待できる食べ物と、おすすめの食べ方を紹介します。
※本稿は月刊誌『PHP』2022年3月号より抜粋・編集したものです。
生活習慣病を防ぐ食べ物&食べ方 (1)肥満対策
生活習慣病とは、かつては成人病と呼ばれていたもので、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎不全などのことをいいます。生活習慣病の大きな原因は肥満です。また、血管の健康が生活習慣病対策にはとても重要です。
とくに肥満の予防には、まず糖質、タンパク質、脂質のとりすぎに気をつけることです。ビタミンなどの栄養をとることが予防につながります。
・豚肉
糖質を効率よくエネルギーに変えてくれるビタミンB1が豊富な食品で、牛肉の約10倍含ふくまれています。ビタミンB1はアリシンと一緒にとると吸収率が一気にアップ。
アリシンはタマネギやニンニク、ニラ、ラッキョウなどに含まれています。タマネギを入れたショウガ焼きや、ニンニクと一緒にしたスタミナ焼きがおすすめです。
・納豆
大豆の豊富な栄養を発酵の力でさらに強めた納豆。脂質を効率よくエネルギーに変えて、疲労を回復してくれるビタミンB2も多く含まれています。納豆は食べる20分ほど前に冷蔵庫から取り出しましょう。
常温で放置することで発酵が進み、血管につくられる血栓を溶かしやすくする酵素・ナットウキナーゼも活性化します。ただし、50度以上では活性が鈍にぶくなるので、ご飯を適温にしてから一緒に食べるのがベスト。
・セロリ
小腸で栄養素の吸収速度をゆるやかにしてくれる不溶性の食物繊維が豊富に含まれています。繊維の筋を断ち切る輪切りや斜め切りなら、筋をとらずに食べられるので、より多くの食物繊維をとることができます。
・コーヒー
脂肪燃焼や肥満防止の効果があるコーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)が豊富に含まれています。また、カフェインも脂肪の代謝を高めます。食後にブラックコーヒーをホットで飲むと、食欲抑制効果が期待できます。
カフェインはとりすぎると、めまいや頭痛を引き起こすことがあるので、飲み過ぎには注意しましょう。1日3杯程度が適量といわれています。インスタントコーヒーでもOK。
・便秘に効果のある食べ物
便秘はおもに大腸の運動が低下することが原因です。便秘の解消に効果的なのが先に取り上げた不溶性の食物繊維。体内で水分を吸収して便の容積を増やし、大腸を刺激して便秘を改善します。また、腸をきれいにして、大腸がんのリスクを減らしてくれる効果も。
食物繊維だけをとるとかえって腸の中でつまってしまうので、あわせて水と油をとることがポイント。水が便を柔やわらかくし、油が便のすべりをよくしてくれます。腸の運動をうながすヨーグルトや納豆などの発酵食品、オリゴ糖も有効。