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写経の初心者に...ひらがなで書いて功徳を得る「十三仏真言」

枡野俊明(建功寺住職/庭園デザイナー)

2022年06月24日 公開 2024年12月16日 更新

感染症の流行で、2020年頃から自宅で過ごす時間が増える中、新たな趣味として「写経」を始める人が増えているようです。

曹洞宗徳雄山建功寺住職の枡野俊明氏さんによると、写経ときいて敷居が高いと感じる人には、ひらがなで書く「真言(仏さまの呪文)」から始めるのがおすすめだそう。

仏教の世界では、私たちがこの世を去ったあと、13の仏さまが、初七日、一周忌などのタイミングで現れ、導いてくれると考えられ、仏さまそれぞれにある「真言(十三仏真言)」を、唱えたり書いたりすることで、功徳をいただけるといわれています。

本稿では、十三仏真言の中から初めての人でも気軽に始められるという観音菩薩の真言を、枡野俊明さんの解説とともにご紹介します。

※本稿は、枡野俊明監修『おうち写経と仏の言葉なぞり書き』(小学館)より、一部抜粋・編集したものです。

 

死後、仏の道へと導く「十三仏真言」

十三仏とは、私たちが死を迎え、肉体を離れた後、初七日から三十三回忌までの間、導いてくださる仏さまのことです。

彼岸までの旅路と、彼岸へ渡ったあとに要となるタイミングで、私たちが道に迷わないよう、おのおのの役割をもって助けてくださるのです。

そんな仏さまには種類があります。役割によって大きく「如来・菩薩・明王・天部」に分かれますが、十三仏は「天部」以外の仏さまで構成されます。

簡単に説明すると、「如来」は、悟りを開いた仏さま。「菩薩」は、悟りを得るために修行中の仏さま。「明王」は如来の化身。「天部」は他の宗教からとり入れた神々などで、仏の教えの守護神です。

仏さまには、それぞれに「真言」があります。真言を唱えたり書いたりすることで、その仏さまとつながり、功徳をいただけます。

ただし、真言には、日本語としての意味はありません。なぜなら、真言はもともとサンスクリット語で、「音そのもの」に力があり、中国や日本では、音に近い文字をあてる「音写」によって伝えられてきたからです。

十三仏は、本来この世を去った方々を供養するためのものですから、自分自身のためではなく、あくまでもご先祖さまや仏さまになった方々への手向けとして唱え、書いていきます。

しかし、そうやって仏さまと結んだご縁は功徳となり、回り回って自分に返ってきます。それを「回向返照」といいます。

また、十三仏は、もちろん生きている私たちも守護してくださいます。

真言を書き、唱えることは、その仏さまの力を直接いただくことにつながります。それぞれの仏さまを思い浮かべながら、なぞっていきましょう。

書いたあとは、実際に唱えてみましょう。僧侶は21回唱えますが、皆さんは3回、5回、7回のいずれかの回数を唱えればいいでしょう。

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