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「上司に媚び、部下に高圧的な人」がいつも不機嫌である悲しい理由

渋谷昌三(目白大学名誉教授)

2022年07月14日 公開 2024年12月16日 更新

いつも機嫌の悪い上司、いちいちイヤミを言ってくる同僚...周囲に不機嫌をまき散らす人たちがいます。そんな人にはどう接したらよいのでしょうか。目白大学教授の渋谷昌三氏に対処法をご紹介いただきました。

※本記事は渋谷昌三著『「めんどくさい人」の取り扱い方法』(PHP文庫)の一部を抜粋、編集したものです。

 

いつも機嫌が悪く、威圧的な上司

上司は職場のムードメーカー。上司のタイプによって、職場の雰囲気もガラッと変わります。

明るく熱心で、しかもリーダーシップのある上司がいるチームは、全体のムードも明るく、士気も上がるでしょう。ところが、やる気のない上司、気弱で、指示ひとつ伝えられない上司などなど、問題上司はたくさんいます。

なかでも仕事がやりづらいのが、「いつも機嫌の悪い上司」。むすっと偉そうに黙り込んだままで、「俺に気安く話しかけるなオーラ」を、全身から発散しているタイプです。

部下とうち解けるどころか、つねに不満そうな顔でチーム全体を見渡し、口を開くときは文句かお小言。こういう上司の部下となった人は、本当についていません。チームの雰囲気は重くなるし、オープンに会話を交わすこともしづらくなるでしょう。

このタイプは、「自分の方がお前らより偉いんだ。お前らは俺の機嫌をいつも気にしていろ」という権威主義者。肩書きにものを言わせるのが大好きなのです。

けれど、本心では自分の実力や、リーダーとしての統率力に自信がありません。「みんな俺についてきてくれるだろうか」「部下にバカにされるようなミスはしないだろうか」と内心ビクビクしていたりします。それを悟られないようにするために、偉そうな態度という鎧を身につけ、部下たちを威嚇しているのです。

こういうタイプがたまに口を開くとやってしまうのが、部下のやる気をどんどん削ぐ発言です。たとえば部下がミスを犯したとき、やる気を引き出せる前向きな上司は

「これは、こういうふうにやると、もっとうまくいくぞ」と、アドバイスの形で指摘します。

けれどこの「ムスッとご機嫌ななめ」タイプの上司は、

「これじゃあダメじゃないか。ちっともわかってないな」と、部下を全否定してしまいがちです。これも、権威主義をふりかざすために起きる物言いですが、部下の仕事へのモチベーションは、見事なまでに下がっていくでしょう。

 

上司を手玉にとる気持ちで、ゴマすり作戦を

運悪く、こうした上司の下になったとき、怒って反発すると、もっと悪い方向にいってしまいます。権威主義者のプライドを傷つけたりしては、あとあと何倍ものしっぺ返しがくる事態になりかねません。

こういうときは冷静に、損得計算だけを考えて行動するといいでしょう。つまり、「イヤな上司ほどゴマをすれ」という、わかりやすい手を使うのです。

人は、自分に好意を示してくれた人を好きになる、という特性を持っています。これを「好意の返報性」といいます。イヤな上司に「お前なんか嫌いだ」という態度で接していれば、相手はあなたに嫌われてると感じ、もっとイヤな態度をとるようになります。

反対に、相手が喜ぶような好意的な態度で接すれば、相手もあなたに好意的に接するようになるものです。たとえ偉そうな態度が鼻についても、「あなたのために頑張ります。よろしくお願いします」と言葉や態度で示しましょう。

頭ごなしに叱責を浴びたときは、それこそチャンス。「申し訳ありません。未熟者ですので、ご指導いただけますか」と思い切り頭を下げるのです。

「こんなヤツに頭を下げるのはイヤだ」と思ってしまったら、同じ土俵に乗ったケンカでしかありません。ここはひとつ、上司を手玉にとる気持ちでいきましょう。

本気で尊敬しなくても、尊敬している態度で接する。そうすれば結果的に、あなた自身のストレスを軽減することができるのです。尊敬していなくても尊敬しているふりをする。そのほうがあなたのストレスを軽減できます。

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上司にはなにも言えないくせに、部下に当たる人

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