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5%しか使えていない脳を「無限に」活用する考え方

菅原洋平(作業療法士/ユークロニア㈱代表取締役社長)

2022年07月26日 公開

だれしも、仕事、家事、運動など、日常生活で「めんどくさい」と感じる場面があるのではないでしょうか。

作業療法士の菅原洋平氏は、「めんどくさい」はという感情は消せるとといいます。一体どうすれば「めんどくさい」を消すことができるのでしょうか。

※本稿は『「めんどくさい」が消える脳の使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

「めんどくさい」の正体は脳の「わからない」

めんどくさい感情を消すために、その正体を明らかにしておきましょう。

めんどくさい感情は、無駄にエネルギーが使われたり、使えるエネルギーが少なかったりするときに出現します。脳の立場からもう少し正確に表現してみると、それは、今の状況や未来の姿が「わからない」ということです。脳が「わからない」となる理由は3つあります。

・難しい予測をすることにエネルギーを無駄遣いした

例えば、友人の結婚式に出席するのがめんどくさい。これは、脳の立場で表現すると、「どうすればいいのか、何が起こるのか、わからない」ということです。

脳は、常に次の展開を予測し、その展開をうまく乗り切るために最適な体を用意しようとしています。初めて行く場所、初めて会う人、初めてのイベント、初めての服装……。

初めてのことが多すぎると、脳の中にある過去の記憶だけでは正確に予測することが難しくなります。その結果、「わからない」となり、動きが命令できなくなります。

この場合、初めてのことがひとつでも減ると、だんだん行動のイメージができてきて、それほどめんどくさくなくなってきます。場所を下見する、事前に人に会う、着ていく洋服を着てみる、など、事前情報が追加されると、予測の精度が高まっていきます。

・生命維持を最優先するために、使えるエネルギーが極端に減らされた

例えば、今週中に提出しなければならない資料をつくるのがめんどくさい。これも、脳の立場で表現し直すと、罰が怖くて「動けない」ということです。

自ら望んでつくる資料ではなく、指示されたり、役割として割り当てられたりした資料作成の場合、間に合わないと怒られる、自分の作業ペースをせかされる、という考え方になりがちです。

罰を受ける、自分の安全を侵されるという意識がつくられると、自律神経のひとつである背側迷走神経系の働きにより、危機を回避して安全を確保することが最優先になります。

すると、体は代謝率が下がって動かなくなり、やる気は起こらず、危機が過ぎ去るのを待つモードになります。

この場合の解決策は、頼まれた資料がどんな人にどのように役立つのかという情報を得ておくこと。そしてその作業と自分のやりたいことの間につながりを見つけて、自分の作業をやりたいことの一部になるように設定をすることです。

すると、腹側迷走神経系の働きによって、体はリラックスして動けるようになり、高いパフォーマンスが発揮できるようになります。安全であることがわかれば、脳は動けます。

・資源の奪い合いで、1つの課題に使えるエネルギーが減らされた

例えば、揚げ油をペットボトルに入れてリサイクルに出すのがめんどくさい。これは、2つの能力を同時に使うのが「負担」ということです。

この作業は、油をこぼさないように注ぐ空間的な能力と、鍋に油がついているので、普通の鍋を洗うよりも時間がかかる時間的な能力、という2つの能力が要求されています。

そのようなときには、1つの能力だけでできる状況をつくってみましょう。空間的に注意を払わなくても済むように、雑に作業しても絶対に油がこぼれない容器に油を移す。

また、時間的に注意を払わなくてもいいように、油の処理をするだけの時間を設けて、その時間は他のことをしなくてもいいことにする。こうなると、一気にめんどくささが薄れませんか?

実は、空間的な能力と時間的な能力は、脳の中で資源の奪い合いを起こしていることが明らかになっています。空間的な課題が得意な人は時間的な課題が苦手、またその逆もあるわけです。

普段の家事とは異なる、時々生じる家事。例えば、換気扇の掃除や窓拭きなどは、空間的要素か時間的要素を減らせば、めんどくさくなくなります。

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意識して使える脳のエネルギーは、たった5%

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