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生き方

睡眠不足が“さびしい気持ち”を高める? 精神科医が教える「孤独を味方につける」コツ

井上智介(精神科医、産業医、健診医)

2022年11月21日 公開

 

孤独感を高める「5つ」のNG行動

孤独感を高めないために、次のことは控えましょう。

(1)ずっと家の中にいる
ひとりで過ごす時間が長いと、どうしてもさびしさを助長させます。時には外出しましょう。人とのつながりを求めて街中に出かけてもかまいません。自然とのつながりを感じるのもおすすめです。公園の芝生に寝転んで流れる雲を眺めたり、森林浴で木々の生命力を感じたりしてみてください。自然に包み込まれる感覚が、孤独感を解消してくれます。

(2)身なりに無頓着になる
さびしいときはエネルギーが枯渇して、何をやるのも億劫になることがあります。お風呂に入らない、何日も同じ服を着るなどしてしまいがちです。外見を変化させることで、心の内側にも変化をもたらしましょう。普段からメイクをする人ならば、ちょっとだけメイクを変えるのもいいと思います。

(3)人との交流をさける
孤独を感じるときは、誰かと交流するエネルギーすらなくなることもあるでしょう。ただ、あまりにも交流をさけていると、ひとりでふさぎ込んでしまって、悪いことをグルグルと考えてしまいます。興味のあるオンラインの講演会やライブ配信などは参加のハードルもそこまで高くなく、つながりを実感できるのでおすすめです。

(4)散財する
さびしさを癒やすために、いつもと違ったお金の使い方が必要なときもあります。ただし、あれもこれもと手を出して散財することはおすすめしません。1カ月1万円以内など、自分のお財布と相談しながらにしてください。その一方で、貯金すること自体が、将来の漠然とした不安やさびしさを紛らわしてくれることもあるので、「50万円貯金する」など目標を持って取り組むのもいいでしょう。

(5)「たられば」で考える
「もし、あのときに別の選択をしていたら……」や、「今後、あのようなことが起きたら……」と、考えたい気持ちはわかります。しかし、過去や未来を考えても悩みが深くなるばかりで、解決に向かわないなら、心がしんどくなるだけです。それでも過去や未来を考えてしまうときには、「今から10分だけ」と制限時間を設けて向き合ってみましょう。

 

さびしさが教えてくれること

「さびしい」という気持ちは、あなたの心から自然と生じた大切な感情であり、それを無かったことにしたり、抑え込んだりする必要はありません。さびしさを感じるからこそ、今までとは違った行動につながることもたくさんあります。

これまで身近にあって当たり前だと感じていた人やモノの大切さをあらためて感じることもあるでしょうし、人のちょっとした優しさに心が温まることもあるでしょう。

「さびしい」ときほど、相手が喜んだり感謝したりしてくれる姿にあなた自身が自分の存在を肯定されたように感じ、自然とそれが行動ににじみ出たりもします。

たとえば仕事などで、いつも以上にお客さんの立場になって話を聞いたり提案できたりするはずなのです。そして、そうした関わりの中でかけてもらった言葉や相手の笑顔が、あなたのさびしさを解消してくれるという好循環を生み出していきます。

あなたは、今まで「さびしい」という気持ちのネガティブな側面ばかりみていたのかもしれません。私たちはひとりでは生きていけません。いつも、誰かの力を借りながら生きています。その意味では、本当はすでに孤独から抜け出しているのかもしれません。

だからこそ、自分の心で生み出したさびしさを否定するだけではなく、ポジティブな側面にも目を向け、心が押しつぶされないような工夫を取り入れてバランスを保ってくださいね。

 

【著者紹介】井上智介(いのうえ・ともすけ)
精神科医。産業医、健診医。大阪府内のクリニックでの勤務と、約30社の産業医を務める。健康障害や労災を未然に防ぐ活動に注力。『がんじがらめの心がラクになる「呪いの言葉」の処方箋』(ナツメ社)など著書多数。

 

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