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西洋人は「日本の茶の湯」に憧れていた...アフタヌーンティー誕生の意外な歴史

藤枝理子(ティースペシャリスト、英国紅茶&アフタヌーンティー研究家)

2023年02月28日 公開 2024年12月16日 更新

 

紅茶の三大銘茶とは?

日本茶に宇治茶(京都)、静岡茶、狭山茶(埼玉)の三大銘茶があるように、紅茶にも世界三大銘茶があります。

【ダージリン】
原産国は、インド北東部のダージリン地方。世界最高峰とされるダージリンは、収穫時期によって異なる味や香りが楽しめます。

▶ファーストフラッシュ(春摘み、3~4月)
キリッとした渋みとフレッシュな味わいがあり、緑茶のような若草色の茶葉と水色(紅茶を淹れたときの色)が特徴。

▶セカンドフラッシュ(夏摘み、5~6月)
心地よいキレと渋みがあり、マスカットのような芳醇な香り(「紅茶のシャンパン」とも称される)が特徴です。
味、香り、コクのバランスがよく、ダージリンの中でもこの時期のものが最高級とされます。茶葉はブロンズ色、水色は明るいオレンジ。

▶オータムナル(秋摘み、9~10月)
ほのかな甘みと熟したようなアロマ。水色は赤みを増した茶色。

【キーマン】
原産国は中国の安徽省祁門県。東洋らしいスモーキーな香りと甘い花のような香りが特徴。収穫時期は4~8月。
クオリティーシーズン(もっとも良質な茶葉が採れる時期)の夏摘みの最高品種には、蘭の花のような気品ある芳香があります。
繊細で細かな茶葉で、水色は明るい赤みがかった茶色。イギリスのエリザベス女王が愛飲していたことでも知られています。

【ウバ】
原産国はスリランカのセイロン島南東部。「セイロンティー」は日本で最も親しまれている紅茶。1年中収穫できますが、クオリティーシーズンは7~9月。
バラやスズランのような優雅な甘い香りと、メントールのようなスーッとしたさわやかな香りを併せ持ちます。
水色は明るい深紅で、ティーカップに注ぐとゴールデンリングと呼ばれる黄金色の輪がカップの内側に浮かび上がります。

 

紅茶をおいしく淹れるコツ

(1)お湯を沸騰させて、ポットとカップを温める
やかんに汲みたての水道水を入れて強火にかけ、硬貨大の泡あわがボコボコ出てくるまで沸騰させます。ポットとカップにお湯を注ぎ、温まったらそのお湯は捨てます。
※ 日本の水道水は、ミネラル分が少なく空気を多く含む軟水なので、紅茶の風味や香りを引き出すのに適しています。

(2)茶葉を正確に計る
ティースプーン1杯(約3g)を1人分として人数分の茶葉を計ります。細かい茶葉は中盛、大きい茶葉は大盛りにするのが目安。

(3)ティーポットに茶葉を入れ、お湯を注ぐ
茶葉を入れて、沸騰したてのお湯を勢いよく注ぎます。お湯の量は1人分180mlが目安。

(4)砂時計(またはタイマー)で時間をきっちり計り、しっかり蒸らす
ポットにふたをして3分間しっかり蒸します。ガラスのポットを使うと、このときに茶葉のジャンピングを楽しめます。
※茶葉が上下に動き、対流運動を行う現象のこと。茶葉が開き、紅茶の成分がしっかり抽出され、味、色、水色が最大限に引き出されます。

(5)カップに注ぐ
3分経たったらポットのふたをとり、ごく軽くかきまぜてストレーナー(茶こし)で茶葉をこしながら、カップに注ぎます。

\ティーバッグでもおいしく淹れられます/
・茶葉が動きやすいように、最初にティーバッグを軽くふくらませます。
・ポットやカップにティーバッグを入れて熱湯を注ぎ、ふた(お皿などでOK)をしてしっかり蒸らすという基本は同じ。
・最後に軽くゆすってティーバッグを取り出します。それまではティーバッグに触わらないのがコツ。

 

紅茶は心身の健康にもいい!

かつては嗜好品ではなく、「薬」として飲まれていた紅茶。当時はその医学的根拠はわかっていませんでしたが、今では紅茶に含まれるさまざまな成分が私たちの心身によい影響を与えることがわかっています。

紅茶に含まれるおもな成分と健康効果について知っておきましょう。

【紅茶ポリフェノール】
・茶葉に含まれる「カテキン」(タンニンの一種)が茶葉の発酵過程で変化した「テアフラビン」「テアルビジン」の総称が「紅茶ポリフェノール」です。
・紅茶ポリフェノールは紅茶のきれいなオレンジ色を生み出し、紅茶の味に独特の渋みをもたらします。
・強抗酸化作用があり、肌や各臓器の老化を抑制し、がんや動脈硬化、心臓病などの病気を予防するとされています。さらに、免疫機能を高める作用もあるので、インフルエンザなどのウイルスの感染リスクを下げると言われています。

【カフェイン】
・紅茶の苦みや味の深みの成分。新陳代謝や皮下脂肪燃焼をうながす働きがあり、美肌やダイエットに効果的。
・脳や筋肉を刺激する興奮作用が眠気を覚まし、頭をすっきりさせてくれます。強い利尿作用があり、むくみの予防や解消にも役立ちます。

【テアニン】
・紅茶のうまみや甘みを引き出す成分で、たんぱく質に含まれるアミノ酸の一種。
・心身のリラックス効果やストレス解消効果、血圧の上昇を抑おさえたり、脳機能の低下を抑制させて集中力や記憶力をアップさせたりする効果が期待できます。

ほかにも、紅茶には健康によい成分が豊富に含まれています。

たとえば、歯のエナメル質を強くする作用があり虫歯予防に効果的なフッ素、血圧を下げ体内の老廃物の排出をサポートするカリウム、骨にカルシウムを取り込むのをサポートして骨粗しょう症の改善に有効なビタミンKなどです。

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紅茶を毎日の習慣に取り入れよう!

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