1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 7時間睡眠にこだわらなくてOK! 専門家が説く「不眠に悩まないための正しい知識」

くらし

7時間睡眠にこだわらなくてOK! 専門家が説く「不眠に悩まないための正しい知識」

櫻井武(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構副機構長)

2023年05月18日 公開

 

睡眠か覚醒か...脳で起こっていること

脳のどの部分がどんな働きをして、私たちは眠ったり、起きたりしているのでしょうか?

【睡眠システムと覚醒システムが脳内で抑制しあっている】

睡眠と覚醒は脳でコントロールされています。主に睡眠を担うのが視床下部、覚醒を担うのが脳幹です。睡眠システムと覚醒システムはおたがいに抑制しあい、どちらかが優勢になると、シーソーのように睡眠か覚醒に傾きます。 

視床下部では、神経細胞がGABAという覚醒を抑制する物質をつくり、覚醒にかかわる領域を抑制して睡眠の状態をつくりだしています。また脳幹では、モノアミンやアセチルコリンという覚醒をうながす物質がつくられ、これらが大脳皮質を活性化して覚醒の状態をつくりだします。

【覚醒状態を維持する物質・オレキシン】

たとえば、歩いているときや食べているときに大人は眠りません。これは脳から分泌されるオレキシンという覚醒を維持する物質が働き、シーソーが睡眠側に傾かないようにしているからです。

一方、睡眠中は視床下部視索前野でオレキシンの働きを抑える物質がつくられるので、シーソーは睡眠側に傾いたまま。その状態では眠りから覚めることはありません。

 

よい睡眠をとるための8つのポイント

睡眠の悩みを抱えている人は、次の8つを毎日の習慣にしましょう。ただし、今現在、眠れている人はここに紹介した方法にこだわらず、今の生活を維持しましょう。

(1) 睡眠を意識しすぎない

不眠に悩む人は、「寝なくてはいけない」と眠りに意識を向けすぎてしまいがちです。しかし、そう思えば思うほど、それがストレスとなって、ますます眠れなくなります。

「昨夜は深夜1時まで寝つけなかった」「今日は7時間眠れた」など、毎日自分の睡眠を評価するのもナンセンスです。そんな評価自体がストレスになるので、やめたほうが賢明です。

(2) 睡眠時間にこだわらない

たとえ「よく眠れた」という実感がなくても、日中、眠くならずに普通に活動できていれば、自分にとって必要な睡眠はとれているので心配することはありません。

よい睡眠を得るには、規則正しい生活を心がけ、眠くなったら寝るようにするのが基本です。冒頭でも述べたように、適切な睡眠時間は人によって異なりますから、7時間睡眠にこだわる必要はありません。

(3) 朝の光を浴びる

体内時計は1日24時間10分ほど。そのため、毎日少しずつ体内時計はうしろにずれていきます。夜の寝つきをよくするには、朝、光を浴びて体内時計をリセットしリズムを整えることが大切。

光は、太陽の光でなくても照明など人工の光でもOKです。眠れない人は毎朝決まった時間に、太陽でも部屋の照明でもいいので、光を浴びることから始めてみてください。

(4) 昼寝をするなら20分以内

日中眠くなったら昼寝をして睡眠不足を解消したほうが作業効率は上がります。ただし、昼寝は長くても20分までにしましょう。20分までの昼寝なら、寝入りばなのノンレム睡眠で深く眠りすぎずに、起きたときに気分がスッキリします。

20分以上、深く眠りすぎると脳の機能が低下して、そのタイミングで無理に起きると頭がボーッとします。その後の脳と体のパフォーマンスはかえって下がってしまいます。

(5) 寝室で「眠る」以外のことをしない

本や仕事の資料を読む、スマホを見るなど、寝室を眠る以外のことに使っていると、脳は寝室を「作業場」と認識します。スムーズに寝入るには、眠るためだけにベッドに入る習慣をつけましょう。もちろん、何をしても眠れる人は気にしなくてOKです。

(6) 15分眠れなければ、ベッドから離れる

ベッドに入ってから15分たっても寝つけなかったら、寝室から出て本を読んだりテレビを見たりして眠くなるまで待ちましょう。これは寝室を「眠れない場所」にしないため。「眠くなったら寝室に行く」を習慣にするうちに、自然と眠気がたまって眠れるようになります。

(7) 日中、脳と体を活動させる

体内時計だけが睡眠のリズムをつくっているわけではありません。夜スムーズに寝つくためには、日中積極的に脳や体を働かせて、睡眠圧を高めておくことが必要です。睡眠圧が高まっていれば、睡眠の欲求も高まり、ぐっすり眠れるようになります。

(8) 夜に眠気をもよおすような生活をする

・夕食は早めにとる
寝るときに空腹だとオレキシンをつくる神経細胞が興奮して覚醒レベルを上げます。逆に夜遅くに食事をとると、その時間帯の脳の覚醒レベルが高まって眠れなくなります。夕食は就寝4~5時間前にとるようにしましょう。

・カフェインを控える
カフェインは眠気を引き起こすアデノシンの作用を阻害します。そのためカフェインをとると眠気が生じにくくなります。眠れない人は、夕方以降にカフェインをとらないようにしたほうがよいでしょう。

・寝る前に飲酒しない
アルコールはGABAの作用を強める効果があるので、寝つきがよくなります。ただし、その効果は30分ほどなので、途中で目が覚めてしまいます。お酒を飲むなら、寝るころには酔いが覚めている夕食時がおすすめです。

・スマホ、パソコン、照明の光は避ける
朝に光を浴びるのとは逆に、夕方以降は部屋を明るくしないのが理想。寝る前にスマホやパソコンの画面を見るのはNGです。夜の光は体内時計を遅らせます。体内時計のリズムを整えて寝つきをよくするには、夜はなるべく明るい光を浴びないようにしましょう。

 

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×