![頭の中を言語化するために「ノートにペンで手書き」が効果的な理由](/userfiles/images/utilityG/pixta_diary.jpg)
頭の中を言語化するには、「自分への問いを立てる」ことが大切です。そのためには、「日々のできごと+感じたこと」を簡潔にメモし、その後に「なぜそう感じたのか?」と問いかけることで簡単に自分への問いを立てることができます。コピーライターの荒木俊哉さんは、上記の流れを「ノートにペンで手書き」して行うことを推奨しています。その理由とは? 書籍『こうやって頭のなかを言語化する。』からご紹介します。
※本稿は、荒木俊哉著『こうやって頭のなかを言語化する。』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。
非日常な時間を持てる
あなたの普段の1日を振りかえってみてください。仕事やプライベートで、どうやって言葉や文章を書いているでしょうか? 仕事の資料や企画書も、個人的なメールやSNSも、基本的にはデジタルデバイスに文字を打ちこむことが、ほとんどではないでしょうか?
PCやスマホで書けば、保存や共有が簡単にできる。見直しもしやすい。ほかにも便利なことがたくさんありますし、当然のことだと思います。
言葉や文章をデジタルデバイスに打ちこむことは、もはや、現代の私たちにとっては「日常」の行為になっています。ノートを使ういちばんの目的は、問いに対する答えを書きだすことではなく、問いをきっかけに自分で自分の話を聞く時間を持つことです。
自分という存在は、普段、なかなか饒舌に語ってくれません。そこで、日常から少し離れて自分と向き合う、ある意味で「非日常」な時間が必要となります。だからこそ、デジタルデバイスではなく、「ノートにペンで手書き」という少し特別な時間を持ってほしいのです。
本音が言語化されやすい
デジタルデバイスは、書いた文字を一瞬で消したり、簡単に書き直したりできます。とても便利ではありますが、頭のなかを言語化するうえでは、あまり相性がよくありません。そもそも、書き直すというのは、自分の書いた言葉や文章を推敲したり、整えたりする行為です。
「もっとちゃんとした内容にしないといけない」「もっとわかりやすい表現にしないといけない」という意識が働いていることになります。
ノートに書きだす際、頭に浮かんでくることは、いつもちゃんとしたものになっているとはかぎりません。正しい文章になっていないことや、ときにはドロドロとした本音や恥ずかしい思いも出てきます。
ですが、それがいいのです。
そもそも、ノートに書きだした内容に良し悪しはありません。すべて自分の頭のなかにあったことなので、すべてが正しいともいえます。
頭のなかを言語化するときは、きちんとした文章を書こうとすればするほど、うまくいきません。むしろ、ノートにペンで書きなぐるくらいのほうが、どんどん言葉が出てくる。私は、そう思います。
定期的に見直せる
「ノートにペンで手書き」をおすすめする3つ目の理由は、書きだした内容を定期的に見直せることです。言語化を習慣化することで、さまざまな問いに対する自分なりの「結論」がノートにどんどんストックされていきます。
後日、それらをあらためてながめると、自分の軸や大切な価値観、いつも悩んでいることの共通点などを新たに発見することがあります。
手を動かすと、思わぬ言葉に出合える
ちなみに私自身、キャッチコピーを考える際は、必ず一度は紙に書きだすようにしています。
真っ白な紙を目の前にして、ペンをにぎり、指先だけでなく腕全体を使って言葉をどんどん書きだしていく。そうすることで、脳が刺激され、自分でもまったく想像していなかった言葉に出合えたことが、これまでに何度もありました。
手書きと脳の活性化の関係については、すでに世界中で、さまざまな研究報告もありますが、コピーライターとして、そのことを日々実感しています。
ノートとペンという、ちょっと非日常を感じられる道具を使うことで、せわしない日常から離れることができ、自分で自分の話を聞く時間が生まれる。そして、自分のモヤモヤとした思いや意見が次々と言語化されていく。
たった3分間なので、だまされたと思って、ぜひ一度、試してみてください。