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「この仕事は要らないよな」を自ら改善する 管理職の3つの楽しさとは?

片山善博(大正大学特任教授)

2025年06月10日 公開

「この仕事は要らないよな」を自ら改善する 管理職の3つの楽しさとは?

厚生労働省の報告によると「管理職に昇進したいと思わない」人は61%にのぼるといわれています。一方で、実際に社会や会社を動かしていくためには、管理職の仕事は必要です。

本稿では、日経クロスウーマンが行った調査、約3000人の現役管理職と管理職経験者に聞いた「これから管理職になる人へ 大事にしてほしい27のこと」について、「管理職を長年経験できてよかった」と仰る大正大学特任教授で元鳥取県知事、元総務大臣でもある片山善博さんに解説して頂きます。

※本稿は、片山善博著『管理職になる前に知っておきたかった50のこと』(日経BP)を一部抜粋・編集したものです。

 

管理職を「楽しむ」

「27のこと」の中で私が1番大事だと思っているのが、「楽しむ」です。

「嫌だ」と思ったら、仕事をするのがおっくうになりますよね。仕事をするのが楽しくなれば、問題はほとんどなくなるんです。毎朝目覚めたら「今日はこれをしてやろう」と思い、仕事で成果を出したら「できた。よかったなぁ」と思うわけですから。

課題を解決することが楽しく、達成感を持てます。冒険心やチャレンジ精神は、もとから人に備わっているものです。それらと仕事がうまくかみ合って、やっかいな仕事でも「どうやれば攻略できるかな」と考えられるようになれば楽しいですよね。

考えてみれば、旅行だって、山登りだって結構大変です。でも、プランをうまく設計すれば、少々体力は必要ですが乗り切れます。計画を立てているときも、実際に行っているときも、終わってからも楽しいですよね。仕事の空間や時間帯も、そういう位置付けをすれば楽しいものになるというわけです。

この「事前に考える」「計画を立てて物事を進める」という考え方が、仕事を楽しむためにはとても大切です。

仕事における不安は、「何が起きるかが分からない」「どういう難題が降りかかってくるかが分からない」という不透明さが背景にある場合が多いです。その不安をできるだけ可視化し、減らすことが有効です。これを計画性ともいいます。

例えば、目の前の仕事を行う際に不安があるなら、仕事の手順や、進めるうえでぶつかりそうな課題を紙に書き出してみたらいいんです。すると大体全体像が見えてきます。

想定される交渉相手や登場人物を書き出しながら、「この問題はあの人が得意だから、あの人に相談してみよう」「この人が文句を言ってきそうだけれども、無視しても大丈夫」と書いていく。

私は書類の裏紙などにメモしていましたね。書くうちに「私にとって一番難しいのはこの問題だな」「自分に必要だけれど不足している知識や経験はこれだ」といった課題も分かってきます。その後は、本を読んだり、人に話を聞いたりしながら、その問題の解決に集中的に取り組めばいいのです。

ルーティーンワークをこなすときはこの作業は必要なく、新しいプロジェクトに取り掛かるときや、例えば役所なら法律改正など、毎年起きる重要な仕事に仕掛かるときなどにこの方法を実践するイメージです。私の場合、働き始めて何年かするうちにこの習慣が自然と身に付きましたね。

私は現役の管理職時代も、朝に「今日も仕事か。起きるのが嫌だな」と思ったことは一度もないんです。起きるときに布団の中で「今日はあの仕事をこうやろう」「これをやろう」とイメージすると、不思議なことにその瞬間、仕事の手順やヒントが湧いてきたりします。ちなみに前日の夜には翌日にやることを頭の中で整理したり、紙に書いたりしています。

 

管理職の楽しさとは?

管理職の楽しさは主に3つあると思います。1つ目は、1人では成し遂げられない大規模の仕事を組織やチームで実現できること。

2つ目は、仕事のやり方を変えたり、不要な仕事をやめたりと、働き方を自分で改革できること。

3つ目は、部下の能力と意欲を遺憾なく発揮してもらって、チームのミッションを実現できることです。

また私は、今与えられている仕事を「自分なりに楽しくやろう」と考えることもとても大事だと思っています。苦痛に思いながら、嫌々やっていると何事も面白くないですよね。どんな仕事でも、どうせ一定期間やらなければいけないのだから、だったら楽しくやろう。楽しくやるにはどうしたらいいかな...と考える。

すると「無駄な仕事はやめよう」「こう工夫してみたらどうだろう」「今までとは違うやり方があるんじゃないか」とアイデアが浮かんで楽しくなってくるんですよ。そんなふうに楽しく仕事をしている姿を後輩が見て、「片山さんの後に、あの仕事をやってみたいな」と思ってくれたらうれしいな、と思いながら仕事をしていました。

自治省に勤めていたとき、転勤の内示を受けた後で、事情により転勤のタイミングが延期され、期限付きで、それまで役所の中で光の当たっていなかった閑職に就いたことがあります。

閑職で、まして待機でしたから何もしなくてもよかったのですが、それも面白くないので、海外との交流事業を仕立てるなどして楽しいポストに変えました。その時点からはそこはもう閑職でも待機場所でもなくなり、しっかり光の当たるポストになりました。

私の後を後輩が喜んで継いでくれて、とてもうれしかったですね。

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