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歩くとなぜいいか? 医学博士が教える「脳を若返らせる」メカニズム

大島清(京都大学名誉教授,医学博士)

2026年09月26日 公開

歩くとなぜいいか? 医学博士が教える「脳を若返らせる」メカニズム

血管の若返りや代謝アップなど、足腰を動かして歩くことには多くの健康効果があります。全身の筋肉の約7割が集まる足を刺激することは、病気予防の基本です。

さらに、歩くことの効果は身体だけにとどまりません。実は「脳」を活性化させるスイッチでもあるのです。本記事では、医学博士・大島清さんの著書『歩くとなぜいいか』より、歩行が脳を若返らせるメカニズムを解説します。

※本稿は、大島清著『歩くとなぜいいか』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

歩く趣味で体も脳もグングン若返る

歩く趣味は足腰を鍛えるだけでなく、脳も若返らせるという効果がある。

ここでは、歩くとなぜ脳が若返るのかを書いておこう。

一言で言えば、人間の足と脳は直結しているからだ。わたしたちは二本足で歩く。人類の祖先がすでに砂漠化していたアフリカの北東部で二足歩行を始めたのは、今から400万年以上も前のことだ。

チンパンジーよりも賢いボノボというサルが、餌を求めるために四足歩行ではラチがあかぬと、二本足で森から森へ移動したのが、人類化への起源とされる。

もちろん人類は突然この世に出現したわけではない。サルの進化の系統から分かれて人類として進化を遂げるのだが、両方の遠い先祖が同じだったということを端的に表す証がある。哺乳類の中でサルと人間だけがこの世の中をカラー画像で見ているのだ。サルと人間以外の哺乳動物は白黒画像の世界で生きている。

総天然色で世の中を見、さらに直立二本足歩行を身につけて人類の脳は飛躍的に進化する。

全体重を二本の足で支えるため、足には大きくて強い筋肉が必要だった。しかも二本足歩行は、四本足に比べてはるかにバランスをとりづらい。わたしたちの祖先は、不安定な二本の足でバランスをとりながら、歩き回り、走り回って獲物をとらなければならなかったのだ。

二本足歩行をするようになって、はるかに複雑な動きをする大小の筋肉を正確に動かすため、おびただしい数の神経が動員されるようになった。こうした体中の筋肉を動かす神経の束が集まっているところが脳だ。

とくに足には大腿筋という大きな筋肉がある。歩くことによって足の大きな筋肉が動けば神経組織を通じて大きな刺激が脳に届く。脳が刺激されれば活発に活動する。脳が活発に活動する状態を「若々しく脳が動いている」というのだ。

 

脳が若いか年老いているかは、必ずしも年齢とは関係がない

こう考えてみると、脳が若いか年老いているかは、必ずしも年齢とは関係がないことがわかるだろう。

年齢が若くてもあまり歩かず、脳に伝わる刺激が乏しければ、脳は活発に動かない。覇気がない若者たちは、「脳年齢」は見た目よりはるかに老いている。

逆に年齢は高くても、好奇心をもって歩き回っていれば、「脳年齢」は見た目よりずっと若いはずだ。しかも、今まで歩いていない人でも歩き始めれば、脳はふたたび活発に活動を始める。つまり脳が若返るのだ。

歩けば脳は若返る。そう信じて歩き続けてほしい。

 

プロフィール

大島清 (おおしま・きよし)

京都大学名誉教授

医学博士。1927年、広島県生まれ。東京大学医学部卒業後、ワシントン州立大学に留学。京都大学霊長類研究所を定年退官後、愛知工業大学教授を歴任。 著書に『人生は定年からが面白い』『脳が若返る遊歩学』『定年後に若がえる生き方』『歩く人はなぜ「脳年齢」が若いか?』『犬と歩けば脳にいい! 』『快活脳の育て方』『なぜか「肝っ玉が太い人」の共通点』『好かれる老人嫌われる老人』など多数。2023年没。

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