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一瞬で本心を見抜ける?「微表情」とは何か

清水建二(空気を読むを科学する研究所代表)

2015年08月26日 公開 2023年05月16日 更新

一瞬で本心を見抜ける?「微表情」とは何か

どんなに隠しても「一瞬」本心が表われる

「ほんの一瞬表われる表情から、相手の本心が見えてしまう」……そんな、魔法のようなテクニックがあるのをご存じだろうか。それが「微表情」。隠そうとしても隠せない本音まで暴かれてしまうため、アメリカでは精神医学や犯罪捜査など、すでに様々な分野で活用されている。当然、ビジネスシーンでもいろいろな応用が可能だ。

まだ日本ではあまり知られていないこの技術。日本での微表情研究・ビジネス活用の先駆者である清水建二氏に、その秘密と活用法についてうかがった。

 

万国共通で表われる「7つのサイン」

「微表情」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?

人は、自分の意図や想いを隠したい、面に出すのは賢明ではない、と考えるとき、感情を抑制し顔に表われないようにします。しかし、そう思っても、ほんの「一瞬だけ」表情に表われてしまうことがあります。これが「微表情」という現象です。

微表情には様々な種類がありますが、「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「驚き」の7種類が、文化や民族、時代を問わず万国に共通しており、私たち日本人の顔にも表われることが知られています。

具体的には、以下の図のような特徴が、意識せずとも顔に表われてしまうのです。

もともと、この微表情の研究は、自殺願望のある人の表情から自殺意図を見抜いたことをきっかけに、精神病理との関係を解明するために始められました。その後、犯罪者のウソを検知する研究へと応用され、現在では、ビジネスや日常生活への応用まで幅広く研究されるようになりました。

顧客満足度を微表情の表われ方から計測し、お客様の「ホンネ」を把握する研究や、交渉スキルが高い人ほど表情読解スキルも高いことを示す研究、夫婦ゲンカの際の「軽蔑」「嫌悪」微表情が離婚のサインとなることを示す研究、暴力を振るう直前の微表情を解明した研究など……実にさまざまな研究が行なわれているのです。

 

「微表情」はビジネスにどう役立つのか?

さて、この微表情をマスターすれば、ビジネスにもいろいろな応用が効くことがおわかりだと思います。一つ、私が実際に体験した事例を紹介します。

ある企業に、新企画の提案に行った際のことです。こちらの説明が一通り終わったあと、私と担当者の間で、以下のようなやり取りが交わされました。

私:「……ということで、本企画は今までにない視点を提供できるトレーニングメニューです」

担当者:「大変面白い企画ですね。この企画をいったん持ち帰らせていただき……」

言葉だけを見ると、前向きに検討してくれるように思いますよね。
ただ、私は、担当者がこんな表情をしているのを見逃しませんでした。

そこで私は、一言付け加えたのです。

私:「あの、他にどんなアイディアを取り入れたら、この企画は良くなると思われますか? お知恵を拝借させていただけませんか。」

担当者:「そうですね……こんなふうにしてみたらいかがでしょうか。たとえば……」

この後、私と担当者はお互い知恵を絞り合い、素敵な企画を作り上げ、企画を実現することができました。

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ほんの一瞬浮かんだ「軽蔑」のサイン

著者紹介

清水建二(しみず・けんじ)

〔株〕空気を読むを科学する研究所代表取締役

1982年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーションを学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。現在、官公庁や企業で研修・コンサルティングを行なう一方で、ニュースやバラエティ番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、テレビドラマの微表情監修をしたりと、メディアでの実績も多数。著書に、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)がある。

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