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肥満防止には、むしろ仕事中に「間食」をとろう!

足立香代子(臨床栄養実践協会理事長)

2018年07月09日 公開 2023年09月08日 更新

足立香代子

血糖値が上がりにくい食べ物を選ぼう

 では、お勧めの食べ物は何かと言えば、キウイやリンゴ、ベリー類です。

「糖質が入っているじゃないか」と思われるかもしれませんが、生鮮食品に入っている果糖は、人工的に作ったものとは違い、消化吸収がゆっくりで、血糖値の上昇が穏やかなのです。

 果物のとりすぎは糖尿病につながると言う人もいますが、今では、1日250グラムくらいまでなら、むしろ糖尿病のリスクを下げることがわかっています。

 250グラムというのは、キウイで言えば3個くらいもあります。食べすぎる心配はないでしょう。

 では、果物ならなんでもいいのかといえば、そういうわけでもありません。ショ糖やブドウ糖が多い果物は、血糖値を上げやすいからです。ブドウやパイナップルなどが、それに当たります。

 ブドウやパイナップルを食べるなら、キウイやリンゴと一緒になった盛り合わせを食べること。すると、血糖値の上昇を抑えられます。

 また、脂質やタンパク質、食物繊維が多い食べ物もお勧めです。これらは、糖質の消化吸収をゆっくりにしてくれるからです。

 特に、八つの必須アミノ酸がすべて入っており、1個で80キロカロリーほどしかない「ゆで卵」は、理想的な間食だと言えます。

 スモークチキンやフランクフルトソーセージ、チーズ、砂糖が入っていないギリシャヨーグルトなどもいいでしょう。

 アタリメは噛み応えがあるので、満腹感を得られやすいというメリットもあります。

 ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類もいいのですが、カロリーが高いので、量には要注意です。間食は、1日200キロカロリーまでにとどめてください。

 砂糖を溶かした液を固めたアイスキャンディーではなく、乳製品の脂質やタンパク質が入ったアイスクリームを選ぶ。

 シュークリームを食べるなら、小麦粉でできたカスタードクリームではなく、乳製品である生クリームのものを選ぶ。

 そうしたことでも、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。

 

栄養素をとれるのも間食のメリット

 間食をとるべき理由として、食事だけでは不足しがちな栄養素がとれるということもあります。

 その点でも、キウイは優れた間食です。

 ビタミンCは、ストレスを受けると排出されるので、ビジネスパーソンは不足しがち。そのビタミンCが豊富なのが、黄色いキウイなのです。

 緑色のキウイは、やはり不足しがちな食物繊維がたっぷり。

 それほど邪魔になるものでもありませんし、スプーンさえあれば簡単に食べられますから、黄色と緑色のキウイを一つずつ、会社に持っていくようにしてはいかがでしょうか。

 ストレスを受けるとマグネシウムも失われるので、それを補給するため、デスクの引き出しにナッツ類を常備しておくのもいいと思います。

《『THE21』2018年8月号より》

著者紹介

足立香代子(あだち・かよこ)

(一社)臨床栄養実践協会理事長

中京短期大学家政科食物栄養専攻卒業後、医療法人病院を経て、せんぽ東京高輪病院(現・東京高輪病院)に勤務。2014年、(一社)臨床栄養実践協会を発足。長年の臨床経験を活かし、年間100回を超える講演会を通して、管理栄養士の育成にも力を注ぐ。『太らない間食』(文響社)など著書多数。

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