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荻原博子の主張「生命保険は“不幸クジ”」

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2020年01月06日 公開 2023年01月05日 更新

 

「生命保険」が普通の"クジ"とは違う点

仕組みは"クジ"と同じ生命保険ですが、一般的な"クジ"と大きく違うところが1つだけあります。

それは、普通の"クジ"には、年齢や男女別などの限定はありませんが、「生命保険」の"クジ"は、同じ年齢︑同じ性別でグループをつくり、そのグループに入った人たちで"クジ"を引きます。

なぜ、そうするのかといえば、同じ年齢、同じ性別でグループをつくらないと、不公平になるからです。

年齢が違えば、死亡する確率は変わります。30歳の人と60歳の人では、どちらが死亡する確率が高いでしょうか?

誰が考えても、60歳の人ですよね。死亡する確率、つまり生命保険の"クジ"に当たる確率は、高齢者になるほど高まるため、同じ1000万円の死亡保険金をもらうのに、若者と高齢者が一緒のグループでは不公平になります。

次に性別の違いです。男性と女性では、どちらが長生きする可能性が高いでしょうか?
2018年の日本人の平均寿命は、女性が87・32歳、男性が81・25歳で、平均寿命で見ると、なんと約6年も女性のほうが長生きします。

同じ年齢でも、長生きする可能性が高い女性と、約6年も平均寿命が短い男性が、同じグループになって生命保険の"クジ"を引くというのは、どうしても不公平になります。ですから、生命保険では、年齢が同じ同性同士でグルーブをつくって"クジ"を引くのです。

 

生命保険には、たった2つの「保障」しかない

では、生命保険の"不幸クジ"において、"クジ"を引き当てたらどうなるのでしょうか。

複雑そうに見える生命保険ですが、じつはこの"不幸クジ"を引き当てて得られるもの(保障)は、たった2つだけです。

その2つとは、「死亡保障」と「入院(通院)保障」です。

①「死亡保障」とは、"不幸クジ"に当たった(死亡した)時に、残された家族が経済的に困らないように出る保険金です。

②「入院(通院)保障」とは、怪我や病気で入院(通院)して、治療費が足りなくなってしまうことを防ぐために出る給付金です。

それぞれの保障のみが付いている保険もあれば、2つの保障がセットになって1つの保険に付いているケースもあります。ただ、どちらの保障も付いていないと、生命保険という"不幸クジ"は成り立ちません。

この2つの保障は、どちらも「掛け捨て」です。生命保険の基本は、死んだ時にお金が出る「クジ」か、病気になった時にお金が出る「クジ」を買うということ。

「クジ」そのものは、自分が当たらなければもらえませんから、当たらない限りは「クジ代」にあてる保険料は、掛け捨てになります。

そして、生命保険は、必ず死んだ時にお金が出る「クジ」か、病気になった時にお金が出る「クジ」、もしくは両方が付いていないと成立しません。ですから、「掛け捨ての保障はイヤ」という人は、生命保険には入れません。

保険料を節約するにあたり、まずは最低限こうした基本を押さえておく必要があるでしょう。

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