「早く払い込む」と「一生涯払い続ける」、どちらが得か
なお、ここまで説明してきたのは保障期間が限られている保険(「定期保険」など)ですが、生命保険では、一生涯保障が続くものもあります。
たとえば、死んだ時の死亡保障や医療保障が一生涯続く保険(「終身保険」や「終身医療保険」)の場合、
Ⓐ一生涯保険料を支払い続けるタイプ
Ⓑ 60歳(仮)までに一生涯分の保険料を払い終えてしまうタイプ(60歳払い済み)
という2つの方法があります。
ここでよく尋ねられるのが、「早く払い込む」のと「一生涯払い続ける」のと、どちらが得か、です。
じつは、Ⓑタイプのほうが、毎月の保険料は高くなります。なぜなら、Ⓐタイプは、一生涯の掛け捨てなのに対し、Ⓑタイプは、一生涯に支払う保険料を60歳までに収めるので、その分が貯蓄になっているからです。
某保険会社の商品を例に挙げて説明しましょう。40歳の男性が、死んだら500万円の保険金が支払われる保険(終身保険)に加入したとします。
この場合、Ⓑタイプ(60歳払い済み)なら、保険料は月1万7351円。けれど、Ⓐタイプだと、月8315円ですみます。
人にもよりますし、何歳まで生きるかは誰もわかりませんが、安い保険料で一生涯支払い続けたほうがいいのではないでしょうか。
これから保険に入るなら「掛け捨て」がおすすめ
では、これから保険に入るなら、「掛け捨て型の保険」と「貯蓄型の保険」のどちらがいいでしょうか。
よく聞かれる質問ですが、ズバリ言うと、「貯蓄型の保険」はやめたほうがいい。
どうしてでしょうか。
生命保険は、加入時の運用利回り(予定利率)が、最後まで続きます。そして、その運用利回りは、加入のタイミングによって、変わっています。
バブルの時の1990年に保険に入った人の運用利回りは、現在の超低金利のなかでも高利率の5.5%で運用されています。ですから、ずっと入り続けていれば、貯蓄部分は高い運用利回りが継続してどんどん増えていきます。
一方、これから「貯蓄型の保険」に加入する人の運用利回りはどれくらいかといえば、0.3%前後。しかも、もしこれから世の中の金利が2%、3%と上がっていったとしても、保険の貯蓄部分の運用利回りは0.3%前後のまま最後まで上がりません。
つまり、これから「貯蓄型の保険」に入る人は、「貯蓄部分」は低金利のまま運用されるので、その分だけ保険料が割高になります。
それだったら、「掛け捨て型の保険」を選んだほうが、損をしないかもしれません。ただし注意してほしいのは、運用利回りが高いタイミングで「貯蓄型の保険」に入っている人は、できれば保険を解約しないこと。
「終身保険」などは、保険料の払い込みが終わった後も同じ金利のまま運用されるので、ずっと増え続けます。運用利回り(予定利率)が低すぎるいまは、「掛け捨て型の保険」を選んだほうがベター。
逆に、運用利回りが高い頃に加入した保険は、できれば解約しないこと。保険を選ぶ際は、これを覚えておくようにしましょう。