松下幸之助が創刊した雑誌が、いま、職場で読まれている理由

『PHP』は、心あたたまるエピソードや感動エッセイが詰まった雑誌。社員の人格形成や職場活性化にも役立つと、現在、全国1,000社以上の職場で愛読されています。
2020年11月02日 公開
新型コロナウイルスが世界を大きく変え、私たちの生活を変え、職場での働き方も変えた。
この大きな変化は企業における「人材マネジメント」のあり方に多⼤な影響を及ぼしている。社員やメンバーをどうモチベートし、育成し、企業活動を力強く円滑に導くのか…。激変する環境の中で頭を悩ませている⼈は多いだろう。
企業と社員、組織と⼈を取り巻く環境は大きな変化の途上にあり、誰にも正解がわかる状況ではない。まさに企業の経営者も⼈事部も、そこで働く社員もみな、手探りしながら考えている、という状況だ。
⼈材マネジメントの新しい潮流をふまえて解説した『この1冊ですべてわかる 人材マネジメントの基本』より、職場環境を悪化させる大きな要因である「パワハラ」について触れた一節を紹介する。
※本稿は、『この1冊ですべてわかる 人材マネジメントの基本』 (日本実業出版社刊)の内容を抜粋・編集したものです。
ソフトとハードの両側面から組織をデザインしていく際に、人材マネジメントの観点から特に留意すべきテーマが「パワーハラスメント」です。
職場でのパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的または身体的苦痛を与える行為や、職場環境そのものを悪化させる行為をいいます。
パワーハラスメントかどうかを判断する際のポイントは、「職場での優位性」が背景にあること、そして「業務の適正な範囲」を超えることです。
パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩などの同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。
つまり、「職場内での優位性」とは、職務上の地位に限らず、人間関係や専門となる知識や経験の有無などの様々な優位性が含まれるといえます。
次に「業務の適正な範囲」についてですが、当然のことながら、業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには該当しません。
上司は組織を牽引し、成果を出したり、部下を育成する上で、自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行うことが求められます。こうした行為は促進されるべきであり、パワーハラスメントに対する取り組みが、こうした上司の適正な指導を妨げるものであってはなりません。
では「業務の適正な範囲」とはどのような定義になるでしょうか? この線引きをどこにするかによって「指導」と「パワーハラスメント」の違いが存在することになります。
厚生労働省のサイトによると、「業務の適正な範囲」とは次のように定義されます。
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上司が部下を厳しく指導することが必要な場面もありますが、暴力を振るったり、相手の人格を否定するようなことを言ったり、無視したりすることは、「業務の適正な範囲」とは言えません。
(中略)その行為が行われた状況や行為の継続性によっても、パワーハラスメントか否かの判断が左右される場合もあるため、それぞれの職場で、どこまでが「業務の適正な範囲」なのかを明確にすることが望まれます。
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このように、「業務の適正な範囲」については職場で事前に明確にしておくことが必要とされます。
パワーハラスメントですが、厚生労働省の調査によると6つの類型に分類されます。以下、引用すると、
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害など)
・つばを吐かれたり、物を投げつけられたり蹴られたりした(男性/20歳代)
・カッターナイフで頭部を切りつけられた(男性/ 20歳代)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など)
・いること自体が会社に対して損害だと大声で言われた(男性/ 50歳以上)
・ミスをしたら現金に換算し支払わされる(女性/ 40歳代)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視など)
・今まで参加していた会議から外された(女性/ 50歳以上)
・職場での会話の無視や飲み会などに一人だけ誘われない(男性/ 30歳代)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
・多大な業務量を強いられ、月80時間を超える残業が継続していた(男性/ 20歳代)
・絶対にできない仕事を、管理職ならやるべきと強制された(女性/ 50歳以上)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
・故意に簡単な仕事をずっとするように言われた(男性/ 30歳代)
・一日中掃除しかさせられない日々があった(男性/ 20歳代)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
・出身校や家庭の事情などをしつこく聞かれ、答えないと総務に聞くと言われた(女性/ 40歳代)
・接客態度がかたいのは彼氏がいないからだと言われた(女性/ 20歳代)
〈出所〉「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省)
こうした職場のパワーハラスメントは放置すれば、社員の心を害するだけでなく、職場の雰囲気・生産性の悪化、人材の流出を引き起こす上に、「不法行為責任」や「安全配慮義務違反」などの法的責任を問われて訴訟による金銭的負担の発生につながる可能性もあります。こうしたことは企業イメージの低下に結びつくことは必至です。
このようにパワーハラスメントは、被害者だけではなく、その周囲、そして加害者や企業全体にも大きなダメージを与えるものといえます。
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“逆パワーハラスメント”が問題視される職場も >
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