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部下や後輩を「○○君」と呼ぶ上司が、無意識のうちに尊大になってしまう理由

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

2020年09月12日 公開 2024年12月16日 更新

部下や後輩を「○○君」と呼ぶ上司が、無意識のうちに尊大になってしまう理由


写真:齋藤清貴(SCOPE)

仕事と家族の世話との両立を図るために「最短距離」で「最大の成果」を生み出す仕事術を極め、多くのビジネスリーダーから支持される佐々木常夫氏。

そんな佐々木氏には自身の生き方働き方を教えてくれた言葉があるという。仕事やコミュニケーションの方法、家族との接し方など、あらゆる面で大きく変わろうとしている現在において、それでも変わらない働くうえでならびに生きるうえで大切なこととは。

※本記事は、佐々木常夫著『ビジネスマンの教養』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。

 

「命令する上司」と「お願いする上司」の大きな差

礼儀正しさにまさる攻撃力はない。

これは、名著『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』を書いたキングスレイ・ウォードの言葉です。

目下の人が目上の人に敬意をもって接する――。「礼儀正しさ」というと、そんな想像をするかもしれませんが、本当の「礼儀正しさ」はそればかりではありません。上司が部下に接するときや、先輩が後輩に接するときにも大切です。キングスレイ・ウォードも著書の中で次のように述べています。

「いくつかのマナーのよさは、君の命令を実行する部下の気分や効率に、非常に大きな影響を及ぼす。頼めばもらえるものが、要求すれば少ししかもらえない。非難めいた言い方をすれば、もらえる量はさらに減る」

たしかに部下や後輩に対して、「これをやりなさい」と命令するのと、「これをやってくれませんか」とお願いするのとでは、相手が受け取る印象はまったく違うものになります。

命令されるよりはお願いされたほうが、「自分のことを尊重してもらっている」と感じます。そして強制的にやらされるよりも、気持ちよく取り組んでもらったほうが、効率も良く、成果にもつながってきます。

 

助けてもらったら素直に「ありがとう」と言えるリーダーかどうか

私がこの言葉と出会ったのは40代前半のとき。当時は東レという会社で課長を務めていて、「リーダーにいちばん大切なのは誠実さではないか」と感じていました。ですから、この一文を読んだとき深く納得したものです。

リーダーになったばかりの人は「自分がリーダーに向いていないんじゃないか」と悩んでいるかもしれません。若手社員が後輩やアルバイトの指導を任され、「うまく指導できるだろうか」と不安に思うこともあるでしょう。

ですが、誠実さ、つまり礼儀正しさを身につけていれば、その人はすでにリーダーとしての大切な資質を備えているといえます。礼儀正しさとは、

「人に会ったら挨拶をする」
「何かしてもらったらお礼を言う」
「間違ったことをしたら、勇気をもってごめんなさいと謝る」

といったこと。誰もが幼いときに、両親や学校の先生から教えてもらった基本的なことばかりです。けれども、こうした基本ができている社会人はそれほど多くありません。当たり前のことが当たり前にできなくなっているのです。

そもそも世の中、自分一人の力でできることは限られています。お互いに助け合わないことには生きていけません。

ですから、助けてもらったときには、相手が目上でも目下でも、「ありがとう」とお礼を言うことが大切なのです。そうすれば相手は「役に立ててうれしい」「この人のために何かしてあげたい」という気持ちになります。

自分が間違った判断をしたときも、「ごめんなさい」と素直に謝る。地位が高ければ高い人ほど、真摯な姿勢が伝わるでしょう。

自分の非を素直に認められれば、周りからも信頼されます。そういうことを言える人というのは、それだけでリーダーとしての資質を備えているといえます。

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なぜ礼儀正しさこそが「武器」なのか?

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