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ラーメン職人が不要になる!? 進化した「工場系ラーメン」の驚くべき実力

藏本猛Jr(ラーメンプロデューサー・一般社団法人国際ラーメン協会代表)

2021年06月17日 公開 2021年07月05日 更新

 

「工場系ラーメン」の魅力2 あらゆる味を再現できる

熟練した技術者の手による工場系スープは、考えられるありとあらゆる味を作り出すことができます。

私が絶対の信頼を置いているある技術者は、どんなラーメン店の味でも工場で再現することができます。この方にかかれば「有名なラーメン店○○と同じ味のラーメンを出したい」という一見無茶な要望にも対応できるのです。つまり、工場系ラーメンは「味の再現力」が高いと言えます。

私はある人気ラーメン店の店主さんから多店舗展開に際して相談を受けたことがあります。私は、本店は今までどおり手作りでかまわないので、新しい店舗では工場系にしたほうがよいと強くすすめました。

しかし店主さんは否定しました。自分が毎日何時間もかけて作っているスープの味が工場で再現できるわけがないと言うのです。そこで、私は何週間か時間をいただいて、メーカーの技術者の方とともにスープの再現に取り組みました。

しばらくして、できあがったスープを一口すすった店主さんは「これを工場で作られたら、何時間もかけて作っているのはなんだったのだろう」と苦笑いして認めてくれました。

工場系ラーメンでは、お客様に提供するスープは「出汁」に「かえし(醬油や塩や味噌といった調味料)」を加えて作っています。同じ「出汁」を使っていても、醬油の「かえし」を合わせれば醬油ラーメンになり、塩の「かえし」を合わせれば塩ラーメンになり、味噌の「かえし」を合わせれば味噌ラーメンになります。

つまり、工場でスープを作るというのは、店舗ごとに特製の「出汁」と「かえし」の組み合わせを調整するということです。「出汁」と「かえし」の組み合わせにより、味の再現性は無限になるのです。

 

「工場系ラーメン」の魅力3 安い

食材や味にこだわった結果、ラーメンの値段が1000円を超えると「おいしいけれど、頻繁には食べに行けないお店」になってしまい、客足が途絶えます。

工場系ラーメンは、なんと言っても低コストです。安い上に、調理する人の技術を必要とせずに味が安定するということは、工場系ラーメンを使えば、誰でもラーメン業界に参入できるということです。

工場系ラーメンの進化を見て、私は「ラーメン店投資」という新たなビジネスモデルを思いつき、投資家さんたちのお手伝いをさせていただいています。

ラーメン店投資とは、店舗を借りて自分のラーメン店を開き、工場系のスープと麺を使って好みの味を設定し、調理は雇ったスタッフに任せ、その売上から利益を得ることです。

進化した工場系ラーメンは、既に新たなスタンダードになっていると言えるでしょう。ラーメン店に行ったら、工場系かどうか考えてみるのも面白いかもしれません。

 

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