THE21 » マネー » 節税アピールには注意...不動産投資で“不利な物件を買わせる業者”の見分け方

節税アピールには注意...不動産投資で“不利な物件を買わせる業者”の見分け方

2023年03月05日 公開
2023年03月06日 更新

山本尚宏((株)WonderSpace代表取締役)

山本尚宏

人生100年時代、誰しもいつかは働けなくなるときがくる。そんなときでも家賃収入が入ってくれば、これほど心強いことはない。ただ、不動産投資というと、「ハイリスクで素人には難しい...」と思っている人もいるはず。

そこで、良質な不動産会社のみを紹介するメディア「不動産投資の教科書」を運営する山本尚宏氏に、普通の会社員でもできる「一番手堅い始め方」を教えてもらった(取材・構成:塚田有香)

※本稿は、『THE21』2023年4月号特集「定年後ずっと困らない『お金の安心』を手に入れる方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2023年3月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

会社員だから得られる不動産投資のメリット

私たちの会社は、9年前から不動産投資に関するメディア「不動産投資の教科書」を運営しています。投資の初心者でも適切な資産形成ができるようにサポートすることを目的に、本当に良質な不動産投資会社だけを紹介し、中立かつ公正な情報発信を続けてきました。

なぜこうしたメディアを運営しているのか。それは様々な資産運用の手法がある中で、一般の会社員に最も適しているのは不動産投資だと考えるからです。

ちなみに不動産投資の収益には、物件を売却することで得られる「キャピタルゲイン」と、物件を他人に賃貸することで月々の家賃収入を得る「インカムゲイン」があり、私たちがお勧めしているのは後者です。

不動産投資のメリットは、「長期的に安定した収入を得られること」と、「他人資本で始められること」にあります。

株やFXは値動きが激しく、大きなリターンを得られる可能性がある反面、その逆のリスクもあります。また、ある程度の自己資金がないと、ボリュームメリットも得られません。

一方、不動産投資なら、自己資金が少ない人でも、金融機関の融資を活用して始められます。株を始めるためにお金を貸してくれる銀行はありませんが、不動産投資なら物件を担保に数千万円の融資を受けられるのです。

しかもこのメリットを享受できるのは、安定した給与収入がある会社員や公務員などに限られます。これが企業経営者や自営業者の場合、たとえ年収が高くても金融機関の評価は低くなり、なかなか融資してもらえません。

つまり不動産投資では、年収が1000万円を超える会社経営者より、年収が500万円の会社員のほうが圧倒的に有利ということ。この特権を活かさない手はありません。 

さらに不動産投資を始めた後も、物件の管理を管理会社に任せれば、あとは特に何もしなくても月々の家賃が入ってきます。まさに「ほったらかし」で継続的に安定収入を得られるのです。株やFXのように市況の変化に一喜一憂する必要もなく、本業の仕事に集中できるので、忙しいミドル世代にはぴったりです。

 

初心者の基本戦略は「区分・中古・都市部」

このように会社員にとってメリットの多い不動産投資ですが、"投資"と名がつく以上、リスクはゼロではありません。不動産投資における2大リスクは「空室リスク」と「借入返済リスク」です。物件に入居者が入らず空室の状態が続けば、家賃収入も途絶えて、借入金の返済が滞る可能性があります。

でも、物件選びとパートナー選びを間違わなければ、この2つのリスクは回避できます。

まず前提として、不動産投資の初心者がとるべき基本戦略をお伝えしましょう。それは「区分」「中古」「都市部」の物件を選ぶことです。

不動産投資の方法には、マンションやアパートを一棟丸ごと所有する「一棟買い」と、分譲マンションの一戸または数戸を所有する「区分所有」があります。

一棟買いは全体の戸数が多くなるので、得られる家賃収入も増えますが、代わりに購入価格も高額になります。一般の会社員なら、最初は手堅く区分から始めることを勧めます。

新築と中古を比較した場合も、購入価格が低い中古を選ぶのが賢明です。特に、今は円安の影響で輸入資材の価格が上昇し、新築マンションの価格も高騰しているため、個人の投資家が手を出すのは難しい局面です。

中古マンションの価格も上昇していますが、実は影響を受けているのは個人の投資家より、中古物件を扱う販売会社です。投資家は投資用物件を扱う販売会社から物件を購入しますが、その販売会社は「物上げ業者」と呼ばれる会社から物件を仕入れています。

つまり「物上げ業者→物件販売会社→投資家」という流れで物件が取引されていることになります。

中古マンションの価格が上がれば、販売会社が物上げ業者から仕入れる際の価格も上がります。しかし販売会社は、仕入れ値の上昇分を上乗せして物件を売るわけにはいきません。投資用物件の価格は「今後この物件がどれだけの収益を生み出せるか」で評価されます。

よって家賃が上がれば販売価格も上げられますが、現在も家賃相場はそれほど上がっていないので、販売会社は売値を上げることができず、結果的に薄利で投資家に物件を売っているのが実状です。

つまり、現状は買い手である投資家が有利な状況ととらえることもでき、その意味でも新築より中古に割安感があります。

次のページ
単身者のニーズに合った物件かどうかが重要 >

THE21 購入

 2024年6月号

THE21 2024年6月号

発売日:2024年05月07日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

入居者の破産、死亡...不動産オーナーが悩む「家賃滞納」をどう解決するか

《PR》丸山輝(フォーシーズ株式会社代表取締役社長)

老後資金は足りるのか...プロが「東京・中古のワンルーム」を解決策として推す理由

《PR》中嶋勝重((株)日本財託 資産コンサルティング部シニアマネージャー)

貯金300万・普通の会社員が“投資家YouTuber”として成功した理由

もふ(投資家)
×