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人間は何をディープ・ラーニングするべきか?

2016年12月02日 公開

中村隆紀(博報堂生活者アカデミー ゼネラルプロデューサー)

第4次産業革命を生き抜く「根本知」はどこに?

 AI(人工知能)がディープ・ラーニングと呼ばれる学習法で進化を加速させ、これまで私たち人間がしてきた仕事をAIが肩代わりするようになってきている。この変化の中、私たち人間が、時代に揺さぶられない豊かな成長基盤を育むためには、いったい何を学べばいいのだろうか? 博報堂生活者アカデミーで人材啓発プログラム開発を主導し、2016年秋に『発想する底力』(日本経済新聞出版社)を上梓した中村隆紀氏に、これから求められる「根本知」について聞いた。

 

「知」もまた、大変化の時代へ

 私たちは、日々の仕事を一生懸命こなしているうちに、自分がどんな時代に身を置いているのかを、つい忘れてしまいがちです。

 今、進行しているのは「第4次産業革命」と呼ばれる変化です。その特徴は、形式化されたプロセスやフレームを用いて効率を上げるような仕事、つまり、ホワイトカラーの頭脳労働領域の機械化が進むこと。経営や財務会計、法務、技術開発、製造、ディマンド&サプライ・チェーンの構築、仕入れ、在庫管理、市場や顧客の分析、業務進行管理など、私たちビジネスパーソンが従事している仕事の多くを、機械がするようになってきているのです。

 私たちはこれまで、受験勉強型のパターン学習や「こうやれば→できます」型のリニアな思考プロセスの習熟に努めてきました。しかし、これこそが、機械が得意とするところです。経済効率の追求が加速する中で、人間は結局、機械のように働く術を学んできてしまったと言えるでしょう。このジレンマから逃れるために、私たちはこれから何を「知」として学べばいいのでしょうか。

 ここ数年、「正義とは何か」という問題やアドラー心理学を扱った本、あるいは山川出版社の歴史教科書などがベストセラーになっているのは、「ビジネスのハウツーやメソッドを次々と取り入れ、目先の成果を追うだけでは、時代の大きな変化の波に呑まれて経済の消耗品になってしまうのではないか」と不安を感じ、「根本的な知とは何か」を探しはじめた人々が増えているからのように感じます。

 

根本知の育み方(1) ~目的創造性への着目~

 機械が自ら学習して進化している中、「人間は、何を知として学んで、自身を磨くべきなのか?」という問いが浮き彫りになってきています。

 機械にはできない、人間にしかできないことは何か。識者の多くは、「機械は課題に対する分析や解決はできるが、『将棋の次は囲碁に挑戦しよう』『建築のマスタープランを作ろう』といった『目的の創造』はできない」という見解を示しています。

 ですから、個人や企業が未来へ向かうために人間が磨くべきなのは「目的創造性」です。目的創造性とは、目先の変化に合わせるのではなく、変革を自らリードするため、主体的に発想することです。

 人間は、機械とは違って、客観的でない、合理的でないことも考えられます。効率性の追求は機械に任せればいい。これまで、景気低迷期にムリやムダを削減するために切り捨ててきた非合理的で主観的な考え方を復興して、飛躍的な着想や常識を打ち破る思考態度を取り戻すことこそが、今、人間に求められているのだと私は思います。

 

根本知の育み方(2) ~目的創造性は、「生活起点」で磨く~ >

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著者紹介

中村隆紀(なかむら・たかのり)

博報堂生活者アカデミー ゼネラルプロデューサー

1961年、東京都生まれ。1984年、慶應義塾大学経済学部卒。〔株〕博報堂入社後、クリエイティブ職、ナレッジ開発職を経て、2015年より博報堂生活者アカデミー設立に参画。事業開発、および教育プログラム構築を主導するゼネラルプロデューサー。このコラムは、生活者アカデミーのマニフェストとして上梓された『発想する底力』(日本経済新聞出版社)をもとに執筆。

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