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アマゾン「スピード経営」のカギとは?

2018年05月21日 公開

田中道昭(連載「アマゾンの大戦略」に学ぶMBA講座 第3回)

ベゾスの言葉に隠された「高速意思決定」の秘密

アマゾンのCEOであるジェフ・ベゾスがこだわってきたことの一つに、イノベーションを経常的に生み出す組織であり続けることを目的として構築してきた「大企業病を回避する仕組み」が指摘できます。

では、アマゾンはどのような組織的・制度的な工夫によって大企業病を回避しているのか。

その「仕組み」には、ベゾスのこだわりや創業から20年あまりが経ってなおアマゾンがアマゾンであり続ける秘密が隠されています。アマゾンがイノベーションを生み出し続けている秘訣といってもいいでしょう。そして、それはアマゾンの「スピード経営の秘訣」でもあるのです。

上図は、2017年のアニュアルレポートをもとに私が整理したものです。ここでいう「4つの法則」とは、「本物の顧客志向「『手続き化』への抵抗」「最新トレンドへの迅速な対応」「高速の意思決定システム」です。以下、アニュアルレポートの記述をもとに解説します。

 

本物の顧客志向 ベゾスがこだわる「DAY1」とは

ベゾスは「顧客への執着こそがDAY1のバイタリティを保つもっとも効果的な方法」だと語っています。彼が口にする「DAY1」とは「(創業して)まだ1日目」という意味合いがあります。

創業間もないアマゾンが出した最初のアニュアルレポートに書き、自分のデスクのある建物には必ず「DAY1」と名付け、今なおアニュアルレポートには「今日がアマゾンにとってのDAY1」と書いた手紙を添付しているほど、ベゾスはこの言葉にこだわっています。

対照的に「DAY2」は、創業当時精神を忘れ衰退していく「大企業(病)」を非難する文脈で、やはりベゾスがよく口にする言葉です。

アニュアルレポートのなかでベゾスはこう続けました。

「顧客は、常に、美しいまでに、そして素晴らしいまでに不満を持っている。顧客が幸せで、ビジネスは順調というときでさえも」

その顧客を喜ばせることに執着する文化は、DAY1にとどまる条件を作り出すにあたって何より大切なもの。ベゾスは「失敗を受け入れ、種を蒔き、若木を育て、顧客を喜ばすことができれば、実りは倍になる」と確信しているのです。

次のページ
「手続き化」への抵抗 ルール化は顧客志向の障害になる >

著者紹介

田中道昭(たなか・みちあき)

立教大学ビジネススクール教授

シカゴ大学ビジネススクールMBA。戦略論を専門として、経営を中核に政治・経済・社会・技術の戦略を分析する「戦略分析コンサルタント」でもある。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長などを歴任。現在、株式会社マージングポイント代表取締役社長。著書に、『アマゾンが描く2022年の世界』『2022年の次世代自動車産業』(ともにPHPビジネス新書)など。

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