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社会人のための「資格試験勉強」の計画の立て方

2018年07月19日 公開
2023年03月14日 更新

鬼頭政人(資格スクエア代表)

 

外部分析と自己分析が戦略の要となる!

 計画を立てるうえでは、「外部分析」と「自己分析」も不可欠です。

 これもビジネスと同じです。

 外部分析は市場環境分析に、自己分析は自社分析に当たります。

 資格試験勉強でいう外部分析とは、試験の形式、難易度や合格に必要な点数などの概要をつかむこと。これに関しては、ほとんどの受験者がやっています。

 ところが、自己分析は、おろそかにしている人が多い。実は、自己分析こそが、計画どおりに勉強を進められるかどうかを大きく左右する重要なもの。それに気づいていない人が多いのです。

・今の生活で、勉強に割ける時間はどれだけか
・現段階での知識はどの程度か
・記憶力は良いほうか
・集中力は何分くらい持続できるか
・どのような環境に身を置くと集中しやすいか

 こうしたことを、しっかりとチェックしたうえで、勉強の計画を立てるべきです。

 たとえば、自宅とカフェの両方で勉強をしてみて、どちらがより集中できるのかを確かめる。朝に勉強したり、夜に勉強したりして、どちらが頭に入りやすいかを比べる。そうした実験をして、自分の特性を知りましょう。

 そして、自己分析で何より大切なのは、

・テキストを20ページ読むのに何分かかるか
・過去問を20問解くのに何分かかるか

 などを計測することです。

 自分が、どれだけの勉強をするのに、どれだけの時間を必要とするのか。その把握こそが、計画の根幹です。

 以上の分析を行なうことで初めて、「戦略」を立てることができます。

「試験日までの期間のうち、基礎力の養成にこれだけ、過去問の演習にこれだけ、仕上げにこれだけの時間を配分しよう」

「自分にとって最も効果的な、この教材を使おう」

 といったことが決まってくるわけです。

 テキストは、「ネットのレビューで評判がいいから」などといった基準ではなく、自分の感覚を最優先して選びましょう。人によって、文章や紙面のデザインの好みは千差万別だからです。

 自分が「読みやすい」と感じたものが、最も自分の頭に入ってきやすいテキストです。書店で何冊かざっと見て、一番しっくりくるものを選ぶといいでしょう。

 薄めのテキストを選ぶのもコツです。重要なことだけを抽出して書いてあるからです。

 詳しい情報がぎっしりと詰まった分厚いテキストは、ポイントがつかみづらく、とくに初心者には向いていません。

 薄いテキストをざっとひととおり読んで、まずは試験範囲の全体像をつかむこと。そうすれば、あとから「ここをもっと詳しく勉強するべきだ」という箇所も見えやすくなります。

 基本のテキストは、あれこれと手を出さずに1冊に決めてしまい、もし必要が生じれば、補足的に買い足すようにしましょう。

 戦略が決まれば、日々の勉強計画という「戦術」も決まってきます。

 

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著者紹介

鬼頭政人(きとう・まさと)

資格スクエア代表

1981年生まれ。開成中学、開成高校を経て、現役で東京大学文科Ⅰ類(法学部)に合格。卒業後は慶應義塾大学法科大学院に進学し、在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て、都内法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を支援したいとの思いから投資ファンドに勤務した後、2013年、資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業。著書に『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』(大和書房)など。

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