松下幸之助が創刊した雑誌が、いま、職場で読まれている理由

『PHP』は、心あたたまるエピソードや感動エッセイが詰まった雑誌。社員の人格形成や職場活性化にも役立つと、現在、全国1,000社以上の職場で愛読されています。
2020年09月09日 公開
住友銀行(当時)で副頭取まで務め上げたのち、69歳で燃えないリチウムイオン電池のベンチャーを起業し、大きく成長させている吉田博一氏。それを実現できたのは50代で迎えた転機があったからだという。(取材・構成:前田はるみ)
※本稿は『THE21』2020年10月号より一部抜粋・編集したものです。
――大手銀行の副頭取やその関連会社の社長を務め上げた吉田博一氏が、当時20代、30代の若者と4人で大型リチウムイオン電池のベンチャー企業・エリーパワーを立ち上げたのは、69歳の誕生日のことだ。
銀行員として人生を終えるつもりだった吉田氏が、結果的に起業家としての道を選んだのは、50代でのある経験が大きく影響しているという。
「住友銀行(現・三井住友銀行)の常務に就任した52歳のとき、急にロンドン駐在を命じられました。当時はバブル絶頂期で、実需の伴わない融資に批判的だった私の態度が問題視されたのかもしれません。
『英語を覚えるまで帰って来るな』と言われただけで、駐在の理由も聞かされず、組織の外にいました。長年いた組織を離れるなら、銀行を辞めようかとも思いましたが、せっかくの機会だからと思い直し、英語を早く習得するために現地の生活に飛び込んでみようと、英国人の教師の家でホームステイをして英語の勉強を始めることにしました。
また、余暇を利用して近隣のヨーロッパ諸国を色々と見て回ることもしました。1年半のロンドン生活で、銀行という組織から解放されて、広い世界に触れたことが、私にとって大きな転機になりました」
――吉田氏の人生観を大きく変えたのは、日本人と違って他人の目を気にせず、自分の思うまま自由に生きることをよしとする英国人の生き方だった。
「それまでは、自分は銀行でしか生きられないと思っていました。1961年入行の私たちの世代は、入社した会社に生涯勤めるのが当たり前でしたし、銀行流の物の考え方を徹底的に叩き込まれ、その枠の中で生きてきました。
ところが、私が出会った英国人たちは、もっと自由に生きていた。他人とは違う生き方が評価されて、それぞれに持ち味の異なる人たちが集まってコミュニティを形成している。そんな環境に自分も身を置き、『組織に縛られずに、もっと自由に生きていいんだ』と思えたことが大きかったですね」
――だからと言って、すぐに銀行を辞めて第2の人生を始めようと思ったわけではなかった。バブルが収束に向かい始めると、その後処理のため、急遽、本社に呼び戻されたのだ。
「帰国後は、自分が正しいと思うことは、他人の目を気にせず主張するようになりました。それで、私の主張通りの結果になると、『お前が正しかった』と評価されて、運よく副頭取にまでさせてもらえたのではないかと思います」
――その後、住銀リース(現・三井住友ファイナンス&リース)の社長、会長を務め、63歳で退任。そこからどのような経緯で起業に至ったのだろうか。
「銀行生活の終わりを迎えたとき、『これで終わっていいのかな』と思ったのです。銀行生活の最後はバブル崩壊の頃で、『自分たちの仕事は世の中の役に立っているのだろうか』と疑問でした。私の人生はまだ続いていく。それなら、もう少し世の中の役に立つことをやろう、と考えるようになりました」
――そのようなときに出会ったのが、電気自動車だった。
「慶應義塾大学の清水浩先生が開発した電気自動車に試乗したのをきっかけに、同大学大学院の教授に就任して、電気自動車の開発プロジェクトを統括することになりました。
電気自動車に興味を持ったのも、英国滞在中にエネルギーや環境の問題を考える機会があったからでしょう。ヨーロッパ諸国では、風力発電が立ち並ぶ風景をよく目にしました。
日本の、しかも銀行の世界しか知らずにいたら、そもそも電気自動車に試乗しようとは思わなかったかもしれません。電気自動車の試作車は完成したものの、当時は大型で安価なリチウムイオン電池が存在せず、高価な電池が電気自動車の普及を妨げていました。
安全で低コストのリチウムイオン電池を開発できれば、電気自動車の普及だけでなく、エネルギー問題も解決できる。そう考えて、エリーパワーを立ち上げたのです」
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